還暦過ぎても遅くない! 目指せグローバルビジネスを

2016/10/27 その他

日比 徹

 筆者は現在66歳、数年前に製薬会社を退職後、現在、兵庫県三田市内の自宅で製薬・CMC関係のコンサルタントをしております。今回、これまで数回の転職体験、海外勤務体験及び現在の仕事の紹介等を交えながら、思っている事をまとめてみたいと思います。
 私は、大学院(薬学:天然物有機化学)修士修了後、重厚長大型の中国地方の化学会社に就職し研究所配属となり、新農薬の合成研究に約6年携わりました。この間、結婚・子供にも恵まれ、居心地も良かったので、この会社・この山口県でずーっと定年まで勤務する積りで、家も購入しました。ところが、二人目の子供が出来た頃、母が急に逝くなり、長男のため父を大阪に一人残しておく訳にも行かず、結局、30歳でこの会社を退職して帰阪することになりました。当時は高度成長期の真っ只中でしたが、転職による中途採用は今日の様に一般的ではなく、日本企業への中途採用機会は殆どありませんでしたが、幸運にも外資系(スイス)製薬会社に就職することができました。就職前は、できれば製薬か農薬の有機合成研究に従事できればと思っておりましたが、入社後に気付いたら、その様な部署は国内にはないことが判り、唯一実験出来る部署として配属されたのは、これまでの有機合成研究とは内容がかなり異なる製剤研究室でした。これが、私の製剤研究のスタートで、ちょうど30歳の時でした。
 この外資系製薬会社に入社しての最初のカルチャーショックは、入社手続き書類から全て英語フォーマットのオンパレード。前職では英語を使う必要など全くなかったため、この時のカルチャーショックは相当でした。また、同期もおらず自分より年下の製剤研究者に、初めて経験する製剤研究実験手技を教えてもらい、実験後は機械洗浄などの下積み仕事を重ねながら技術習得・理解に注力しつつ、週3回の終業後の英会話と定期的なレベル進捗テスト、年4回の英語での本社へのQuarterly Report提出等々、慣れないハードな仕事のため途中で投げ出そうかとも思ったこともありましたが、30歳前半だったこともあり必死で頑張れたと思います。そうこうしている内、スイスの国際学会FIPに先輩と一緒に参加させて頂く機会に恵まれました。生まれて初めて海外の地を訪れる機会だったのでとても楽しみでしたが、実際には、出張報告書作成のために終日必死で学会発表の英語を聞き取りメモ作成に追われ、とても周りの景色等を楽しむ余裕がなく、とても残念でした。しかし幸運にも、このヨーロッパの国際学会への出張報告書が顧問の方の眼に留まり、それがきっかけとなって、その後1年間アメリカのカンザス大学への留学と、引き続き半年間アメリカのグループ会社の製剤研究所で研修させて頂くという機会に恵まれました。

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執筆者について

日比 徹

経歴 1974年、京都大学大学院薬学研究科修士課程修了。同年、山口県の大手化学・セメント会社に就職、中央研究所で新農薬の合成研究に従事。1981年、多国籍系化学・製薬会社に入社、製剤研究所で製剤開発に従事。1984年~1985年、カンザス大学タケルヒグチ教授の下に留学。1985年~1986年、多国籍系化学・製薬会社のアメリカグループ会社の製剤研究部門で研修後、帰社。その後、国内中堅製薬会社の製剤研究所、及び国内異業種参入大手企業の医薬事業部*の製剤研究所に勤務。(*:その間4年間、製剤工場で医薬品製造管理者を経験)。2004年、以前勤務した中堅製薬会社の米国子会社で医薬品開発等に従事。2011年、退職帰国後、コンサルタントとして独立して現在に至る。 ※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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