中国版GDP:2016年中国GSP「医薬品経営品質管理規範」の改定

GSPとはGood Supply Practiceの略称で、中国語では「医薬品経営品質管理規範」という。この規範では、「本規範は医薬品の経営管理と品質管理の基本ルールで、企業は医薬品の調達、保存、販売、輸送などにおいて有効な品質管理措置を取り、医薬品の品質を確保すべき」と定義しており、本文でいう「経営」は、日本語の「経営」とは意味合いが異なり、management全般を指すのではなく、医薬品の調達、保存、販売、輸送などを指すことに注意を頂きたい。従って、中国の「医薬品経営品質管理規範」とは、実質的には医薬品の適正流通基準:GDP(Good Distribution Practice)に相当するが、中国ではGSP(Good Supply Practice)という表現を使用しており、本文でもGSPを使用する。

GSPは1992年に発出され、1998年に改定し2000年7月1日から正式に施行となった。その後、2012年に再度改定し2013年6月1日施行、さらに2015年5月に改定、同年7月1日より施行と改定を重ね、本年2016年7月20日に再び改定、公布され、且つ即日施行となった。今回の改定の理由とその変更箇所は以下の通りである。


一、改定の理由

その一:2015年12月30日に、国務院事務室が「重要製品の追跡システム構築の促進に関する意見」を交付した。この「意見」の方針に従い、医薬品経営企業(流通企業)の追跡管理責任を実行させ企業の主体意識を強化することで、ソースの調査、行方の追跡が出来るようになった。そして、責任を追及することが可能な医薬品のサプライチェーン追跡システムの構築を促進するため、旧版GSPにあった電子監督管理の内容を改定する。

医薬品の追跡システムについて、「重要製品の追跡システム構築の促進に関する意見」では下記の通り規定している。
 
これは医薬品追跡システムの構築の推進を提示する意見である。医薬品のすべての品目、全てのプロセスの追跡と監督管理を主な内容として推進し、医薬品追跡システムを構築し、改善する。医薬品製剤の電子監督管理を完成させた上で、徐々に原薬(中薬薬材を含む)、飲片*などの製品に広げていく。経営に対する電子監督管理を普及させ、医療情報システムと国家医薬品電子監督管理システムとの連携を促進し、全ての品目、全てのプロセスに対する追跡と監督管理チェーンを形成させる。

*飲片…生薬を加工(修治)したもの

その二:2016年3月に違法ワクチン事件(GMPPの記事中国違法ワクチン事件を参照して頂きたい)が起きた。ワクチンを販売する資格を持たない者がワクチンを違法販売したひどい事件であった。この事件により、中国政府はワクチン製品の流通を見直し、結果、国務院は「ワクチン流通と予防接種の管理に関する条例」の改定に関する決定」を公布し、且つ旧版条例を廃棄した。これとともに、旧版GSPにあるワクチンを取り扱う経営に関する規定を改定する。

その三:「「三証合一」登録制度改革の促進に関する国務院事務室の意見」(訳者注:「三証」とは営業許可証、組織機構コード証、税務登記証を指す。)に従い、元組織機構コード証と税務登記証を必要とする事務は、「三証合一」した後に営業許可証で手続きをするべきである。従い、旧版GSPの関連規定を改定する。

その四:新しい「医薬品管理法」が公布され、一部の条文の番号が変わったので、それと共に、旧版GSPに引用された「医薬品管理法」の内容も改定する。
 

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