GCP監査入門【第1回】

GMP Platformをご覧の皆様にはなじみが薄いであろうGCPについて、2年間にわたって「GCP入門」を連載させていただいた。多少はGCPに興味を持っていただいた方がいらっしゃるようでしたら幸甚の至りである。筆者のこれまでの30年以上にわたるGCPの世界のほとんどの仕事が監査である。「GCP入門」の中でも監査の条文であるGCP省令第23条に関しては他の条文に比して多くの文字数を頂戴したが、もう少し詳細な説明をさせていただきたく、「GCP監査入門」として新たに連載を開始させていただくことになった。筆者が日欧の製薬企業と日米のCRO(開発業務受託機関)でGCP監査を実施した経験を通し、そしてCROとして国内外の治験依頼者から監査を受けた経験等を基に、多くの実例を交えて書き進めていこう。この連載は「GCP入門」と同様に、医薬品の企業主導治験を主体とするが、時には医師主導治験について、あるいは医療機器GCPや再生医療等製品GCPについても触れていきたい。

GCP監査とは
 冒頭で「監査の条文であるGCP省令第23条」と書いたが、これは医薬品の企業主導治験の条文であり、医師主導治験では第26条の9になる。さらに医療機器GCP省令と再生医療等製品GCP省令では共に、企業主導治験が第31条で医師主導治験が第42条に監査が規定されている。その内容はほぼ同様の記載なのだが、若干の相違もある。相違点についてはおいおい説明していこう。
 GCP省令第2条で「監査」が定義され、第23条の解説(ガイダンス)で監査の目的が記載されている(図1)。これによれば、監査は①治験で収集された資料の信頼性を確保するために、②治験がGCPと治験実施計画書と手順書に従って実施されていることを評価することであり、③モニタリングや品質管理業務から独立した立場で評価することであると記載されている。つまり開発担当部門から独立した監査担当者が、治験で収集された資料を評価することであり、その評価の基準とする根拠はGCPとプロトコールと手順書(SOP)の3点だということである。
 GCP上の「監査」の定義は上述のとおりであるが、規制当局による適合性調査と対比して言うならば次のようになるだろう。承認申請された治験資料を承認しても良いかどうかを審査する規制当局に対して、申請しても良い(申請に耐えられる)資料か否かを申請者の立場で評価するのがGCPの監査担当者である。そのためにはGCPやプロトコールやSOPに書いてある「やるべきこと」と、「やっている(やった)こと」である治験データを比べて評価するのがGCP監査なのだ。

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