海外工場建設プロジェクトの進め方 10回シリーズ【第4回】

2020/12/04 施設・設備・エンジニアリング

塚田 進

 
回:引合書の作成
前回のコラムで工事会社決定までに注意すべき点を説明しました。今回はそれらを踏まえて具体的にどのような引合書を作成すべきなのかを、(日系施主様が選択されるケースが多い)設計施工一括発注を主眼に説明することにします。引合書は大雑把に定義すれば以下に示す3つの書類で構成されると言って良いと思います。 

1)    見積提案書作成指示書
見積提案書提出期日、提出方法、提案書構成などを明確に指示します。この図書は工事会社選定後の契約書とは関係の無い図書になりますので、受注後の役務に関する要求事項をこの書類に記載してはいけません。

2)    要求仕様書
ここでは技術的な要求事項、プロジェクト工程の要求事項、仮設計画の要求事項などを明確にします。この図書が見積費用の根拠として最重要なものになります。また、契約書の添付図書になります。

3)    契約書本文、及び約款ドラフト
これは上記に比べ、工事発注に慣れていない技術者の方には分かりにくい書類です。支払い条件、保険付保条件、保証、合意金額、納期、賠償責任などを規定します。コマーシャル条件書とも呼ばれます。

さらに補足するなら案件所在国の事情を良く考慮した上で工場完成までの全体工程を作成し、これも要求仕様書の一部にしたほうが良いでしょう。注意しなければならないのは、国によって、また、案件規模によって申請から着工許可まで半年から1年もの期間が必要になるケースもあることです。


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海外工場建設プロジェクトの進め方-VOL.4

執筆者について

塚田 進

経歴 株式会社シーエムプラス 執行役員。
1級建築士、認定コンストラクションマネージャー(日本CM協会)。
1983年大手エンジニアリング会社入社。大型EPC案件の土木・建築を中心とした国内・海外プラント設計、海外現場管理を経験。エンジニアリング マネージャー、建築部部長代行を経て、2006年同社インドネシア法人社長に就任。700余名の現地社員を率い2014年まで企業運営とインドネシア国内中小案件をリード。海外駐在は、インドネシア、UAE, タイ、イラン、中国、カタール等、延べ15年以上に及ぶ。2016年株式会社シーエムプラスに入社。 国内外固形製剤工場、食品関連工場、医療機器製造設備等において顧客側コンサルタントとしてプロジェクトマネジメント業務(基本設計、ゼネコン引合い・評価、遂行管理等)に従事。2018年4月より現職。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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