海外工場建設プロジェクトの進め方 10回シリーズ【第3回】
2020/11/06
施設・設備・エンジニアリング

第3回:実施設計会社、及び工事会社の選定
基本設計が完了すると次に実施設計と工事を具体化させる段階に進みます。設計会社と工事会社を選定する方策にはいくつかの種類がありますが、契約形態としては主に以下の3つに区分されます。1) 建築実施設計を現地設計会社へ発注し工事会社と分離する。また、製造機械は施主が別途購入、据付する。
2) 建築工事会社に建築実施設計と工事を一括発注し、製造機械は施主が別途購入、据付する。
3) 製造機械購入、建屋も含めて全てゼネコン、もしくは、エンジニアリング会社に発注する。
論理的には、上記番号順で費用は増加し、遂行上の追加費用、工程遅延リスクはその番号順で小さくなります。欧米的な進め方に習った考え方ですが海外でのローカルプロジェクト遂行では上記の1)のパターンが一般的です。そのため、現地ローカル建築工事会社は工事会社であり、実施設計をこなすだけのエンジニアを十分に抱えていない企業がほとんどです。彼らが雇用しているのは施工図作成用エンジニアや施工管理エンジニアのみという会社が多いのです。故に、彼らに上記の2)のパターンで発注しようとすると、彼らが設計事務所をサブコンとして確保することになります。
この設計・施工分離発注や、設計・施工一括発注の利点、欠点を詳しく説明し始めるととてもこのコラム欄では記述しきれませんし、海外特有の記事ではないのでここでは詳しくは説明しません。ただ、日本のオーナー様は、日本同様、日系ゼネコン、或いはエンジ会社に設計・施工一括発注を好まれます。主な理由は、自社組織内に建設に詳しいスタッフが存在しないこと、設計ミスによる工事手直し追加費用を負担したくない、実施設計開始から工事完了までの納期を最適化できると期待されることがその理由でしょう。日系大手ゼネコンやエンジ会社はそのようなニーズに合わせて海外でも対応可能体制を構築していますが、海外建築業界ではこのような遂行組織は世界から見ると特殊であると言えます。
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