製薬用水の基礎知識【第1回】製薬用水の種類と基準

1.薬づくりに欠かせない「水」
 
 医薬品の原材料には有効成分(原薬)や様々な添加剤などありますが、この他にも医薬品に含まれるものがあります。それは「水」です。薬づくりにおける水の用途は、実に広く、水なしでは薬がつくれないといっても過言ではないでしょう。原材料を水で溶解したり、造粒時に水を添加したりと、最終的に製品に含まれる成分でもあります。また、製品に接触する、製造設備や容器類の洗浄・滅菌でも、大量の水や蒸気を使用します。このように、薬づくりに使用される「水」は、「製薬用水」とよばれます。医薬品の品質に密接な関わりをもつため、GMP対象として一般の水とは区別して管理されます。
 
2.清浄で安全な水質の基準
 
 まず、私たちの身の回りにある水について考えてみましょう。河川の水、雨水、地下水(井水)、そして生活に欠かせない水道水(市水)などあります。このなかでも水道水は風呂・トイレなどの衛生設備や洗濯などで使用されるだけではなく、私たちが飲用水として口にする水でもあります。もし水道水の水質に問題があれば、私たちの健康が脅かされる事態へと発展します。公衆衛生において、常に清浄で安全な水道水が供給されることは、非常に重要です。そこで、この「清浄で安全」な状態を規定すべく、水道水の水質は水道法によって定められています。水道事業者はこの水質基準に適合した水を供給しなくてはいけません。
 
 一方、「製薬用水」は薬をつくるための水です。製薬用水は注射剤ならば体内に直接投与されますし、安全性や品質に関わる各種試験でも使用されます。このため、人体や試験に影響しないレベルまで、水に含まれる不純物を取り除かなければいけません。そこで水道水と同様に、ただし薬づくりに使用されるという観点から、製薬用水についても清浄で安全な水質基準が定められ、日本薬局方(Japanese Pharmacopoeia, JP)に示されています。
 
 ここで少し、日本薬局方(局方と略されることもあります)について、紹介しましょう。日本薬局方は、医薬品の性状および品質の適性をはかるために定められた医薬品の規格基準書です。通則、生薬総則、製剤総則、一般試験法及び医薬品各条からなり、収載医薬品については我が国で繁用されている医薬品が中心となっています。また、付録の参考情報には、通則等の重要事項の解説や補足、新試験法の収録、国際調和事項の収録状況、医薬品の品質確保に必要な情報などが示されています。
 
 日本薬局方の初版は明治19年6月に公布され、すでに100年以上の歴史があります。薬事法第41条に基づき、厚生労働大臣が薬事・食品衛生品議会の意見を聴いて告示されています。薬事行政、医療現場および薬学研究等に携わる多くの方々の知識と経験の結晶ともいえるでしょう。近年の急速な医学・薬学の進歩を背景に、5年ごとに全面的な改正が行われ、現在(2012年3月)は、第十六改正日本薬局方が公示されています。
 

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