ラボにおけるERESとCSV【第56回】

2019/09/27 施設・設備・エンジニアリング

望月 清

7.483における指摘(国内)
前回より引き続き、国内企業に対するFDA 483に記載されたデータインテグリティ観察所見(Observation)の概要を紹介する。
 
II社 2017/11/17 483 続き(2/2)
施設:原薬工場


★解説:
本483に対し2018/7/17付けでウォーニングレターが発出され、データインテグリティの是正が求められた。

ウォーニングレターの要旨:
ラボにおけるテストの完全な記録を維持できておらず、原薬が規定の規格と標準に適合していることを保証できない。
貴社は以下のことを保証出来ていない。
•    原薬をテストした完全な記録がバッチ記録に含まれている
•    原薬のテストデータが品質部門によりレビューされている

前回はObservation 1を紹介したので、今回はObservation 2以降を紹介する。


Observation 2
原薬製造に関わる記録が、査察に際し速やかに提示されなかった。
QCの休憩室に多くの文書が乱雑に置かれており、それらの文書を確認するのに多くの時間を費やした。その文書確認の結果をObservation 1、4、5に記載した。

★解説:
FDA査察官はQCラボ、QC居室のみならず休憩室を含むありとあらゆる場所を調査する権限がある。QC居室において職員机の引きだしを調査することもある。そのような調査を拒むと査察妨害としてウォーニングレターが発出される。この事例では、FDA査察官はQCの休憩室において様々な記録が管理されずに置かれているのに気がついた。それらの記録を調査したところ繰り返しテストのデータであることが判り、Observation 1、4、5の指摘へつながったとのことである。QC休憩室に置かれていた文書の確認に予定外の時間を費やしてしまい、査察官は心証を相当害したと思われる。

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執筆者について

望月 清

経歴 合同会社エクスプロ・アソシエイツ代表。
1973年山武ハネウエル株式会社(現アズビル)入社。分散型制御システム(DCS)を米国ハネウエル社と分担開発。2002年よりPart 11およびコンピュータ化システムバリデーションのコンサルテーションを大手製薬会社にご提供。2009年より微生物迅速測定装置の啓蒙普及に従事。2014年5月より現職。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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