リスクアセスメント&マネジメント(RAMP)【第6回】

2015/07/06 品質システム

"

3.原材料管理
医薬品の原料は大きく;出発原料(I.一般化学品、II.基幹骨格化学品、III.毒性原料、IV.生体抽出物("植物、動物組織、醗酵基材など)、V.生物体(醗酵母株・生体合成・組織培養)、VI.製剤用添加剤(界面活性剤、賦型剤、色素・香料)、VII.溶剤(有機溶剤、回収溶媒、精製水)、VIII.ガス(窒素、二酸化炭素、圧縮空気)、IX.包装・ラベル資材等に分類される。

これらの原料は仕様、使用場面が異なり、そのリスクは多様であるが、まずは共通のリスクを評価する。その後、各原料の持つ個々のリスクを評価する。

出発原料のリスク解析
各原料に関連するリスクの例を述べると;

I.一般化学品

1.製造所の生産停止、休止、長期の保守・定期修理
2.製造所の事故;火災、漏れ等の事故での休止、廃止、
3.石油価格の高騰による価格の高騰
4.在庫調整による生産調整、価格調整
5.製造所の統廃合による生産中止
6.製造所の廃業
7.環境問題で、生産中止、操業停止、工場移転
8.新規法令対応適合不可による、廃業
9.行政当局の意向で、製造所の閉鎖(インド、中国)
 

II.基幹骨格化学品

1.製造所の生産能の限界(増産不可能)
2.製造の変更で不純物profileの変動
3.出発原料の入手困難で製造制限、
4.製造所の廃業
5.環境問題で、生産中止、操業停止、工場移転
6.新規法令対応適合不可による、廃業
7.行政当局の意向で、製造所の閉鎖(インド、中国)
 

III.毒性原料

1.製造所の生産能の限界(増産不可能)
2.製造の変更で不純物profileの変動
3.出発原料の入手困難で製造制限、
4.製造所の統廃合による生産中止
5.製造所の廃業
6.環境・毒性問題で、生産中止、操業停止、工場移転
7.行政当局の意向で、製造所の閉鎖(インド、中国)
 

IV.生物体抽出 植物、動物組織、醗酵基材など
 醗酵母株;

1.母株の歴代培養・保存中の遺伝子の変異で、生産物の変異、不純物profileの変化。
2.保存期間中の母株の製造能の失活、生命活動の停止
3.ファージの侵入で、微生物の死滅
4.母株の冷凍保存
5.保存もしくは遺伝子の固定化の安定性の不備

 生化学合成;

1.生化学反応での微生物汚染、酵素能の低下
2.不純物プロファイルの変化
3.反応条件;温度、圧力、pH の差異による、反応速度の変動

 組織培養母株;

1.生産能の変化(特に低下)、生産物の変異・不純物profileの変化。
2.保存期間中の母株の製造能の失活、生命活動の停止
3.母株の冷凍保存の安定性の不備
4.保存もしくは遺伝子の固定化の安定性の不備
5.母株の歴代培養・保存中の遺伝子の変異

"

2ページ中 1ページ目

執筆者について

古澤 久仁彦

経歴 1978年住友化学工業に入社、創薬、安全性等に従事。2004年三井農林(株)に入社APIの製造部門にて、信頼性保証部長を歴任、2010年テバ製薬(旧大洋薬品)に入社、信頼性保証部門、部長としてvendorのGXP全般の監査を担当。2014年退社。
製造所のGM(X)P監査・risk評価並びGMP管理(製造管理、品質保証・管理、文書管理)の実践的対応、risk分析、PMDA/FDA査察の実践的対応を得意とする。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

10件中 1-3件目

コメント

この記事へのコメントはありません。

セミナー

2025年7月2日(水)10:30-16:30~7月3日(木)10:30-16:30

門外漢のためのコンピュータ化システムバリデーション

2025年8月21日(木)10:30-16:30

GMP教育訓練担当者(トレーナー)の育成

CM Plusサービス一覧

※CM Plusホームページにリンクされます

関連サイト

株式会社シーエムプラス

本サイトの運営会社。ライフサイエンス産業を始めとする幅広い産業分野で、エンジニアリング、コンサルティング、教育支援、マッチングサービスを提供しています。

ライフサイエンス企業情報プラットフォーム

ライフサイエンス業界におけるサプライチェーン各社が提供する製品・サービス情報を閲覧、発信できる専門ポータルサイトです。最新情報を様々な方法で入手頂けます。

海外工場建設情報プラットフォーム

海外の工場建設をお考えですか?ベトナム、タイ、インドネシアなどアジアを中心とした各国の建設物価、賃金情報、工業団地、建設許可手続きなど、役立つ情報がここにあります。

※関連サイトにリンクされます