医薬原薬の製造【第12回】

今回、第12回から第14回までの3回は、結晶化による精製工程について述べます。この工程は通常原薬の最終精製工程となり、非常に重要な工程となります。結晶化は、化学変化ではなく物理的変化です。有機化学を専門とする者が最も不得意とする工程です。Disappered Polymorph(s) など摩訶不思議な現象が起こったりします。しかもこれは、医薬開発に非常に大きな影響を与えます。科学的には非常に興味深く、医薬品品質に大きな影響を与える結晶化工程について以下解説していきます。
 

結晶化のさせ方

結晶化は化合物の精製には大変有効な工程です。結晶化のさせ方には、大きく分けて4つの方法があります。

1.温度を上げて溶解。温度を下げて結晶化。
2.良溶媒で溶解。貧溶媒を加えて結晶化。
3.温度を上げて溶解。溶液を濃縮して結晶化。
4.塩を溶解しておいて、酸・塩基を加えてフリー体として結晶化させる。

最も一般的な方法が1です。この場合、溶媒は単一でも良いですし、また混合溶媒でも可能です。温度を上げて溶解した溶液は、ろ過器を通します。所謂熱時ろ過です。ここで、異物が除去されます。

混合溶媒の場合は、2の方法を用いることが多いです。3の方法は、実験室のスケールでは濃度コントロールが難しいのですが、スケールアップした場合は比較的簡単に実施することができます。

4の方法は、塩とフリー体の溶解度の差を利用して結晶化させるものです。目的物がカルボン酸の場合、Naにしておいて酸を加えてフリーの酸を結晶化させることが多いです。この方法は、スルホンアミドにも利用できます(R-SO2NH-R')。化合物がアミンの場合、塩酸塩として水に溶解しておき、これにNaOHもしくはアンモニア水を入れてフリー体を沈殿させることもあります。この方法は最終原体に用いられることは稀です。なぜなら結晶化の際に塩を生成しますので、最終原体に塩が混入することがあるからです。
 

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