QCの役割を徹底理解【第4回】

製剤、包装では原料・資材の品質がダイレクトに製品に影響します。原料と資材の品質保証ができてこそ初めて、製品の品質保証ができ、患者様、医療関係者等によい医薬品を提供できます。PIC/S GMPガイドラインの通知で示された6つのギャップの1つが「原料・資材の供給者管理」で、まさにそれが求められています。そのためには原料・資材メーカーが品質保証を向上させることに尽きます。そして製造業者/製造販売業者は原料・資材の特徴を知り、メーカーがどのような製造方法を行い、どのような品質保証を行っているかを把握し、問題があれば改善していくことになります。いくつかの事例を紹介したいと思います。

1)    結晶形や粒子径/粒度分布
 公定書では含量や純度などを確認していますが、物性の規格は入っていません。原料の物性(結晶形、粒子径/粒度分布)が製剤の安定性や溶出試験に影響を及ぼす場合があります。
・原薬の結晶形が変わったために経年のため安定性が低下する。
・結晶形の変化や粒度分布の変化が溶出にも影響する(原薬が溶ける溶媒で造粒していない場合)。
製品出荷時は規格に入っていたのが、経年でその変化の影響を受けて規格外になることがあります。QCの受入試験で結晶形や粒度分布を確認しているでしょうか? 確認していないとそのリスクは神頼みになってしまいますので、製造所でどのように結晶形や粒度分布を確認しているかを実際に訪問して尋ね。また類似の原料がないかどうかの確認も重要な項目になります。なぜならQCの受入試験では類似品を識別できないリスクがあります。

2)コンタミや表示間違いのリスク
 原料製造所でコンタミリスクの有無について。同一ラインで高薬理活性やアレルギー物質を造っていないのか? 洗浄バリデーションやラベル管理をどうしているかなども重要な確認事項になります。資材製造所でも同じリスクがあります。

3)エンドトキシン
 注射剤の場合、エンドトキシンはろ過や滅菌では除くことができません。原料製造時のエンドトキシンフリーの水を使うことになります。受入試験でエンドトキシンが適合であっても、それはたまたまかもしれません。あるいはサンプリングした箇所以外は不適合かもしれません。原料の製造工程での保証になり、その製造工程の確認が必須になります。
微生物もろ過あるいは滅菌していればよいとはなりません。多くの微生物があった場合など、微生物が毒素を出している可能性があります。そのため微生物も一定限度以下に抑えておくことが必須になります。

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