医薬品製造における膜分離


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株式会社トライテック
 
はじめに
医薬品製造では培養液の菌体あるいは細胞の分離、タンパクの濃縮精製などで幅広く使用されています。膜処理の特長は熱を加えること無しに溶液の濃縮が出来ること、濃縮と精製が同時に出来る事などです。ここでは、その原薬製造に使用されている限外濾過について紹介します。
 
1.膜分離の範囲、用途
 膜分離には精密ろ過(MF)、限外濾過(UF)、ナノろ過(NF)、逆浸透(RO)があります。
MFは粒子径おおよそ0.01μm~1μmの範囲の分離、UFは1nm(0.001μm)~10nmの範囲、NFは1nm前後、ROはそれ以下の範囲の分離をおこなう技術です。
 
 表1にMF、UF、NFとROについてそれぞれの特徴、用途等を示します。表中の膜上捕捉物質とは膜によって阻止されて膜の1次側に残る物質、膜透過物質は膜を透過して2次側に出てゆく物質です。プロセスによっては膜で必要な物質を阻止して膜の1次側で濃縮する場合と、必要な物質を膜の2次側へ透過させて高分子除去等の精製を行う場合があります。たとえばバクテリア等で溶液中に蛋白を生産させそれを回収する場合、はじめに菌体とそのほかの溶質を分離するのにMFを使用して膜の2次側に溶質を出し、その次にUFによってタンパクを膜の1次側に濃縮し、2次側に低分子を透過させて蛋白を精製するプロセスです。低分子の糖の精製ではUF膜を使用して糖を2次側に透過させて多糖類等の高分子を除くことができます。
 
表1. 膜の種類と用途

 

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