つつましく始まったcGMP


現行cGMPに関する規則である連邦規則21編210条および211条はスルファニルアミドの医薬品による、死者を含めた数百名規模の被害者が発生したことを受けて1938年に制定された、米国法である連邦食品・医薬品・化粧品法(FD&C法)(21編、または本法)より派生するものである。概して、議会により医薬品に関する法律が公布(施行)されると直ちに正しい製造が行われるようになると思われがちだが、現実はやや複雑味を帯びる。米国では法律は議会が作成・制定するが、法律の解釈や実施方法については行政権を有する各主題の行政当局が規則の中で更に説明を行う必要がある。これらは本法の条項に基づき連邦規則集に記録される。21の章でFDAの権限に関係する全事項が取り扱われており、210条および211条に医薬品に関するcGMPの事項および定義が記載されている。本法が議会により発表されるように、関連規則も法的拘束力を有する文書(およびより広義における法律)である。

1938年制定の本法では州際通商(IC)における禁止事項、不良品、不当表示について規定されており、不良品については501条(a)(2)(B)項に10ほどの定義が記載されており、医薬品の製造に用いられる方法が現行のGMPに準拠していない場合、当該医薬品は不良品とみなされる、とある。これが1938年以降米国でcGMPという用語が使われるようになった端緒であり、この用語はその後世界へと広がっていった。ただし、議会がcGMPという場合に何を意味するかは本法のどこにも定義も説明もされていない。おそらくは特別な意味があるわけでなく、ただ文字通りの意味であろうと思われる。FDAが「回顧的」に議会の意図するcGMPの語の意味、つまり製造作業中にいかにして不良品を発生させないか、が定義されているcGMP規則を公布したのは1978年になってからのことである。1938年から1978年の40年間で、何がcGMPかという点に関するFDAと医薬品製造業者間の議論は尽きず、法的解釈について法廷の介入を要することもしばしばであった。この40年間のめざましい製薬業界の成長により、cGMPの基準についてFDAと業界間の過去の関係から得られた問題や経験に基づき最低限規定する規則が必要となった。

1978年の規則はこれまで40年間、ほとんど変更されることはなかった。1990年代半ばには、プロセスバリデーションの正式な定義を盛り込む目的で大幅な変更を伴う新たなcGMP規則が連邦官報に告知されたが、その後不要として撤回され、当面の間は他に代わるものが作成される見込みはなさそうである。規則が存続し続けられるのは過去の実際の経験や前例に基づくという規則自体の基礎や、技術的な面で指示的でない記載となっていることに起因する可能性がある。規則の各文章は人によっては過去の実例や製造作業中に発生した不良品から慎重に言葉が選ばれていると思うかもしれない。

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