中国、臨床ニーズの高い海外承認済み医薬品の優先審査制度を発表

 2018年10月30日、中国国家薬品監督管理局は、「臨床上緊急に必要とされる海外新薬に関する審査承認業務のプロセス」を発表した。これは、海外では市販されているが中国では市販されていない“緊急に必要とされる新薬”に対して、審査承認の専用チャネルを設けることが記されている。これらの製品について、中国での市販承認申請用書類は、主に海外での承認申請時に提出する書類と市販後の研究データとなる。特に日本の製品は人種差に関する研究データも不要となる。以下に、専用チャネルで審査承認可能となる対象製品と必要な書類をまとめる。

一、    審査承認の専用チャネルに適用する製品の選定基準
 直近10年間、米国、EU、或いは日本で市販されているが、中国では市販されていない新薬のうち、下記いずれかの条件を満たすこと。
(一)希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)。
(二)生命を脅かす重篤な疾病の予防・治療用医薬品で、有効的な治療或いは予防手段を持たない医薬品。
(三)生命を脅かす重篤な疾病の予防・治療用医薬品で、明らかに臨床的優位性のある医薬品。

二、    専用チャネル製品の選定
 国家医薬品監督管理局、国家衛生健康委員会が上記基準を満たすものを選定した後、公開する。実際に、臨床上緊急に必要とされる製品のリストは、2018年8月に選定され、パブコメ版として公開されていた。パブコメ版には日欧米の製品48品目が含まれており、「臨床上緊急に必要とされる海外新薬に関する審査承認業務のプロセス」の公開時点では、そのパブコメ版に含まれていた48品目のうち8品目がすでに市販承認されたことに伴い、2018年11月1日に残りの40品目による正式版が公開された。これは、「臨床上緊急に必要とされる新薬リスト(第1期)」というタイトルを付けられており、今後は第2期、第3期など続くことが想定される。
 ここでは、そのリストだけを添付(本記事最下部を参照)し、選定のプロセスを省く(原文には示されている)。

三、    専用チャネルでの審査承認プロセス
 専用チャネルで審査承認される製品リストに入る製品について、米国、EU或いは日本でMAH(市販許可所有者、製造販売業者)による研究に基づいて、人種差がないものは、下記プロセスで登録申請を実施することができる(朱書き箇所は筆者によるもの。日本の企業に対してインパクトがあると思われる)。

(一)相談。申請者は「薬物研究開発と技術審査承認に関する相談の管理方法」に従い、医薬品審査承認センターに第Ⅰ類の相談申請をする。

(二)承認申請。医薬品審査承認センターと合意する場合、申請者が登録申請資料に対する要件に従い申請資料を準備し、且つ下記分類に従い、適切に申請を提出する。
1.専用チャネルでの審査承認プロセスが公布される前に、臨床試験申請或いは市販承認申請はまだ提出していない製品について、申請者は医薬品審査承認センターに市販承認申請を提出することができる。
2.専用チャネルでの審査承認プロセスが公布される前に、すでに臨床試験申請を提出したが、技術審査評価がまだ完成していない製品について、申請者は医薬品審査承認センターに申請書類を提出し、臨床試験申請を市販承認申請に変更し、且つ海外で取得したすべての研究資料、及び人種差がないことを証明できる資料を追加して提出することができる。
3.臨床試験を実施する最中の製品について、申請者は医薬品審査承認センターに市販承認申請を提出することができ、且つ臨床試験を継続することもできる。臨床試験が終了した後、申請者は追加申請の形式で臨床試験レポートを提出する必要がある。
4.専用チャネルでの審査承認プロセスが公布される前に、すでに市販承認申請を提出した製品について、申請者は海外で取得したすべての研究資料、及び人種差がないことを証明できる資料を追加して提出することができる。
5.すでに日本或いは中国香港、マカオ、台湾地区で市販され、且つ臨床上十分な症例に使用されている製品について、申請者はこれらの国或いは地区での医薬品使用状況研究レポートを提出し、且つ関連分析を行えば、暫く人種差に関する研究資料を提出しなくてもよい。
6.申請者は、同時に、中国食品医薬品検定研究院に医薬品のテストに使われる資料、試験用サンプル、標準物質、試験材料などを規定要件に従い提出する必要がある。具体的な規定要件については、中国食品医薬品検定研究院より別途制定される。

(三)審査。医薬品審査評価センターは専門的な審査承認チャネルを設け、希少疾病の治療薬は、受理後3か月以内、その他の海外新薬は6ヵ月以内技術審査評価を完成させる。上記期間は、申請者が追加資料を準備する期間を含まない。
審査において、追加資料が必要されると判断される場合、専門審査評価段階で企業に追加資料の提出を通知する。申請者が関連担当者に相談した後、五月雨式に提出してもよい。

(四)承認。国家医薬品監督管理局が医薬品審査評価センターから提出された審査資料を受け取った10日間以内に、承認の結果を決める。

四、    承認申請用書類
 次に申請資料に対する要件を紹介する。海外での研究データを利用し、専用チャネルを通して、輸入品を承認申請する資料に対する詳細要件は下記の通りである。
1.証明性資料。米国、EU或いは日本での製造販売承認を得ている証明。日本、香港、マカオなどで市販したことを証明する書類、及び最近5年間以内これらの国或いは区域に製品を輸出した医薬品の量とその証明資料。
2.CTD
申請者はICHのCTD書類要件に従って申請資料を提出する必要がある。その申請資料は、すでに製造販売承認を取得した先進国での申請資料の内容と基本的に同じで、且つ、市販後累積した研究データを提出すべき。うち、CTDのモジュール1、モジュール2、及びモジュール3~5のクリティカル研究レポートの摘要は中国語で提出し、且つ原文を参考として提出する必要がある。医薬品の添付文書について、その内容は元の市販された国で承認された内容と同じで、様式は中国「医薬品説明書とラベル管理規定」に従うべき。
3.人種敏感性分析レポート
申請者はICHの関連ガイドラインに従い、中国人及び(或いは)アジア人と欧米人に対する有効性及び安全性の同一性を分析すべき。
4.市販後研究及び市販後リスクマネジメント計画
申請者は全体的な有効性及び安全性評価、及び人種敏感性分析に基づき、市販後臨床試験及び市販後リスクマネジメント計画の必要性に関する科学的な判断を行うべき。
5.申請資料の一致性声明
申請者は、中国で提出する市販承認の申請資料は、元の海外での製造販売承認時に提出したすべての資料、及び市販後に完成した研究資料であることを宣言する必要がある。

中国語原文については、下記リンク参照。
http://www.ccpie.org/cn/yjxx/yphzp/webinfo/2018/10/1523844775142912.htm

また、中国の中央テレビで本件に関連するニュースを報道しており、興味のある方はご覧いただきたい。
http://tv.cctv.com/2018/10/31/VIDEohhL6BtEUbqePJT6WBsK181031.shtml


なお、筆者が所属する株式会社シーエムプラスでは、医薬品の国際ビジネスマッチングサービスを実施している。筆者の元には、日本の製品に興味を持つ中国企業の情報が寄せられるので、中国市場への進出を考える中でパートナーを探している方は、以下のフォームよりご連絡ください。支援をいたします。

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