医薬原薬の製造【第5回】

2014/09/22 原薬

今回は、前回の基礎編に引き続き、応用編として溶媒回収の課題について、技術的側面をのべてまいります。

蒸留による溶媒回収(応用編)

溶媒は、反応、抽出、再結晶などの工程で用いられています。このうち、反応、抽出に用いられる溶媒については、多くの場合、水と混合されています。反応溶媒の場合ですと、反応後のクエンチは、多くの場合水が用いられますし、また、抽出も水と有機層の相分離よって不純物が除かれていきます。いずれも、水が用いられます。溶媒回収で一番の問題は、水との分離が達成されるかどうかです。種々の溶媒について水との分離がどのように実施されるのかについて次に考えみましょう。

前回、基礎情報のところで、エタノールとトルエンについて共沸混合物を使った蒸留について考察してきました。これらの考察から、水と溶媒を分離するには、以下の要素が非常に重要になってきます。
 

●水と共沸混合物を作るか?

●水と溶媒を混ぜた時に2層になるか?

●水と2層分離したときに、水が1w/w%以下か?

●共沸混合物は、2層になるか?


上記の要素によって溶媒を分類することができます。良く使われる溶媒について、分類したものがFigure1 に示されています。この図に従って、各タイプについて解説していきます。
 

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執筆者について

森川 安理

経歴 アンリ・コンサルティング 代表。
大学修士課程で有機化学を専攻後、1977年旭化成工業(株)入社。スクリーニング化合物の合成、プロセス化学研究に一貫して従事。この間薬学博士号取得。その後、医薬原薬の工場長を10年経験。工場長として、米国、イタリア、豪州、韓国の当局の査察および、制癌剤を中心にする治験薬の受託生産を経験。旭化成ファインケム(株)を2013年2月末退職。2013年3月より現職。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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