ラボ・生産設備における省エネルギー化【第8回】

2014/02/03 施設・設備・エンジニアリング

 GMP施設での代表的エネルギー使用機器として次のような機器及びシステムが使用されています。
 
 ・流動層乾燥機
 ・真空凍結乾燥機
 ・コーティングマシン
 ・オートクレーブ
 ・用水製造装置
 ・空調換気設備 など
 
 これらの機器は、一般にクリーンルームの中に設置されており、発熱負荷、外気負荷など空調設備に与える影響は大きなものがあります。これらの機器の省エネ対策を行う事で空調負荷も減少し、施設全体でのエネルギー使用量を相乗的に減少させることが可能となります。
 
1 生産機器廻りの省エネ
1.1 流動層乾燥機
 
 
 図から、まず気が付くエネルギー削減は温風の発生方法です。一般には外気を処理した空気を蒸気などで間接加熱し乾燥空気としております。従って外気の平均温度を20℃としても乾燥必要温度上昇には大きなエネルギーを必要とします。この場合の省エネアイデアとしては、
 
 ・外気の予熱と廃熱の利用
 ・温熱発生のヒートポンプ化
 ・蒸気の使用方法
 ・送風動力の削減
 ・空気圧縮機の動力削減
 
 などが考えられます。手法の詳細を以下に記述します。
 
1 外気は温風に比べて十分に低温でありますから、予熱するに他のシステムの廃熱を用いる事を推奨します。最終温度までは加熱できないかもしれませんが、残りを蒸気、または電熱器などを用いれば、かなりの部分でのエネルギー削減が可能になると思います。
 
2 温風発生には一般に蒸気が使用されており、目標温度にもよりますが、最近では高効率のヒートポンプが登場していて120℃程度であれば採用することも可能でCO2削減には効果的です。
 
3 蒸気を用いる場合でも、使用圧力、湿り度などに注意すべきです。さらにそれを連続で使用する場合には廃熱回収なども忘れずに実施して頂きたいものです。
 
4 排気の処理部分にあたる集塵機と排風機の関係性にも省エネ対策のアイデアが考えられます。図ではダンパで風量制御をしておりますが、何を制御しているのでしょうか?基礎編でも述べたようにインバータを用いたシステムを構築できれば省エネ率は大きくなるでしょう。もちろん紛体搬送の原理を無視するわけにはいけませんので、風速制限には注意が必要です。また紛体性状にもよりますが十分に高い排熱温度の場合、顕熱交換機による熱回収も必要でしょう。各電動機は原則IE3規格を使用することは今後必要となるでしょう。
 
5 スプレーノズルに必要な圧縮空気なども予熱することで使用量が減少しますので、検証してみてはいかがでしょうか。スプレーノズルもメーカーサイドの問題ではあるでしょうが、省エネノズルの採用が出来れば空気圧縮機の吐出圧を減圧できるかもしれません。
 
1.2 コーティングマシン
 コーティングマシンの種類は多く、流動床式、ドラム式などがよく見受けられます。製造する医薬品の種類、生産量などにより選定される機械は異なりますが、液のスプレー、乾燥空気の導入などは原理的には似通ったものが多いと思われます。この機械でも上記で記述した流動層乾燥機と同様な省エネ手法がとられることが考えられます。

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執筆者について

佐藤 典男

経歴 FS工房株式会社 代表取締役社長。
1975年 日本揮発油株式会社(現日揮株式会社)に入社。その後日揮プランテック株式会社に転職。2011年定年退職。2011年起業、現在に至る。日揮在職中は原子力関連設備、病院、研究所、食品工業、医薬品工場などの空調換気設備、給排水衛生設備、特殊設備などの設計、建設などを担当。これら設備の省エネルギー対策にも精通し、ESCO事業の立ち上げに参画。半導体工業、窯業、精密機械工業、金属加工などの分野でのエネルギー診断で実績多数。エネルギー管理士。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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