今さら聞けない!微生物・滅菌入門【第1回】

【第1回】微生物とは?
【第2回】微生物に起因する主な疾患
【第3回】管理の対象としての微生物
【第4回】微生物の殺滅法
【第5回(最終回)】滅菌概論


【第1回】微生物とは?
 
1.はじめに
 医薬品、医療機器、化粧品、食品、飲料などを製造する際には、微生物の管理は避けて通ることはできません。何を、どのように製造するかによって、管理の対象、方法、注意すべき要件などは異なってきます。 しかし必須であることには変わりありません。
 
 改正された薬事法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)で規制を受ける医薬品、医療機器、化粧品、医薬部外品の製造においては、基本的に微生物はいて欲しくない存在です。(もっとも微生物の発酵などの作用を利用して製造を行っている抗生物質などでは、目的とする微生物だけはいないと困りますが・・・)しかし微生物はどこにでもいます。ある医薬品が望まれない微生物で汚染された場合、その微生物はどこから来たのでしょうか? 主要な汚染源として、以下が考えられます。
 
(1)その医薬品の原材料、製造用水、包装材料が微生物で汚染されていた(原料由来)
(2)製造室の環境中、製造設備に微生物が存在していた(環境由来)
(3)作業者が微生物を持ち込んだ(人由来)
 
 どれも可能性があります。GMPではこれら汚染の可能性のあるファクターを特定し、それぞれに有効な対策をとることを求めています。最終工程で無菌化される製品(無菌製品、滅菌済み製品)であっても、製造の最初の段階から微生物管理が求められます。(理由は、本連載で後日掲載予定「細菌の死滅様式」の項を参照のこと) 
 
 注射薬や使い捨て医療機器などは無菌製品です。 無菌製品というのは文字通り一匹たりとも微生物が存在することは許されません。 微生物学的に生きている菌が実質的にゼロであることが要求されるものです。 正確に表現すると、ある対象物に存在する微生物の存在確率を10-6以下にする工程が滅菌工程です。 医療機器は放射線、高圧蒸気、エチレンオキサイドなどで滅菌します。 注射薬では液剤をろ過することで無菌性を確保しているものがあります。 どのような工程で微生物を除去するにしましても、最終的に製品を無菌にするというのは非常に難しいことです。 さらに製造メーカーには「無菌であることを保証する」という極めて重要な問題が待ち構えています。 無菌という概念は極めてシンプルですが、滅菌および滅菌保証は決してシンプルなものではありません。 製品を無菌化するには付着している微生物を完全に除去あるいは殺滅しなければなりません。 一方微生物は、その死滅の様式(規則性)より、100%殺滅することはできません。 超高温など極端な条件で処理すると、製品がダメージを受け、商品としての価値を失います。 製品への影響は最小限にし、なおかつ無菌状態を作り出さなければなりません。 そしてその状態を維持しなければなりません。
 
 この矛盾する命題を解決するには、いくつかのアプローチがありますが、本連載ではまず管理の対象となる微生物について知る、というところからスタートします。 敵を倒すには、まず敵を知ることが必要です。 次いで微生物の死滅挙動、具体的な滅菌の方法、エチレンオキサイド滅菌工程の確立方法、滅菌工程バリデーションについて順次解説していきます。 
 
 なお注射薬などの無菌ろ過については、ここでは割愛し、医療機器の滅菌を中心に解説します。 

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