【第2回】治験に係るベンダーの要件調査


要件調査を実施する担当者に求められる要件
 治験を実施中又は終了後にベンダーを対象とした監査を行うのは、治験依頼者によって指名された監査担当者でなければならない。しかし、治験を開始する前のベンダーの要件調査は監査担当者でなくてもよい。なぜならばベンダーに対する要件調査は治験を開始する前なので、GCP第23条に基づく治験の監査ではないからである。したがって、要件調査を実施する者は治験依頼者によって指名された監査担当者に限らず、他の部門の者が実施してもよい。例えば、開発担当部門(モニタリング、データマネジメント、治験薬保管等)や、外資系企業では購買部門が実施することもあり、また近年ではベンダー管理を専門に行う部門を置いている治験依頼者もある1)
 


 しかしながら、GCP監査担当者は調査訪問に同行するなど、何らかの方法で関与すべきであろう。ベンダーの要件調査は治験のシステム監査と同様の視点と技法で確認することが重要であり、これらの知識や経験があるのはもちろん監査担当者だからだ。この点について詳説しよう。
 治験依頼者が治験に係る業務をベンダーに委託するにあたって、複数のベンダーを調査し、その中から委託する業務に必要な要件(費用と業務実施期間を含め)を満たした適切なベンダーを選定する。要件調査を行う際の調査項目として、ベンダーの経営状態(資本金、社員数、離職率)、業務実施体制(会社組織、GCP組織)、受託実績、業務手順書、教育訓練体制、ITシステム、施設設備などが挙げられる(図1)。これらの調査項目は、GCPシステム監査の対象とされるものと似ていることが分かる。


 特に、資料保管施設や治験薬保管施設あるいはサーバールームなどの施設設備を中心としたベンダー調査を行う場合、これらの調査担当者は、他社や多くの施設(Facility)、他の業界や色々な規制要件(GLP、GMP、建築関連法規、消防防災関連法規)等を数多く見聞きして、多様な知識・経験を持つことが必要となり(図2)、そのような知識・経験を持つ者は、治験のシステム監査を行っている監査担当者である2)。したがってこのことから、GCP監査担当者が何らかの方法でベンダー調査に関与すべきであるといえよう。

 

 

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