エッセイ:エイジング話【第57回】

2つの視点 -その2-

 どこよりも高く買い安く売るというラジオコマーシャルを聞き、顧客側重視に立った中古車販売会社かと思っていました。ところが、2023年7月になって発覚した不祥事をTV報道から聞くと、そうでは無いことが次々と明らかになりました。
 昭和の時代に不動産仲介会社では、よくおとり広告というのがあって顧客が電話で問い合わせると、「売り切れました」と対応し他の物件を奨めるやり方だったと覚えています。この中古車販売会社は、これを応用したのか?高目の価格提示によって取り込んだ顧客に対して、今度は供給者側視点を発揮し一連の不祥事を思いついたのではないかと推測しました。 
 車を故意に傷つけて損害保険を請求する・街路樹を枯れさせ車窓の広告を道路側から見え易くするに至っては、地域住民顧客に対し周到に準備した悪意すら感じます。街路樹がない歩道を歩くのは耐えられません。

 2023年9月になって大手損害保険会社は、中古車販売会社との取引で「経営判断ミスがあった。」とし社長が辞任会見をしました。社長が辞任に至った重要な判断ミスとは、取引先との関係継続を重視する余り、「顧客視点経営ではなかった」と語りました。
 更に業界第二位の中古車販売会社を辞めた社員は、業界第一位の中古車販売会社と同様な顧客対応をするよう指示を受けたと、TVのインタビューで答えました。
続いて大手経営コンサルタント会社は、中古車販売会社再建へ乗り出したとのTV報道が在り、供給者側視点から顧客側重視視点へ経営指針を変換されるのか?経営コンサルタント会社の指導方針を見守りたく思います。
 私事になりますが、これまでを振り返ると供給者側視点だった思い当たるふしがあります。製薬会社からのTVコマーシャルで良く聞く、「患者さんのために」を重視してきたか?という自問です。

 

 

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