【第11回】GCP-SOPライティング - GCPで必要なSOPと作成技法 -

 今回は、GCPには記載されていないが治験依頼者として必要なSOP、そしてCROに業務委託する治験依頼者のSOPについてお話ししよう。


治験の依頼及び管理に係るその他の手順
 前回まで、GCPの省令やガイダンスで作成しなければならないとされているSOPについて紹介してきた。これ以外にも省令やガイダンスでは明確に規定されてはいないものの、治験を依頼し管理するために必要なSOPがある。例えば、治験計画届や終了届等の届出手順、規制当局への副作用等の報告の手順は必要であろう(図1)。ただしこれらのSOPは治験というよりも薬事関連部門でSOPを整備していることもある。

 さらに、データマネジメントや統計解析、あるいはEDCの構築に関しては省令やガイダンスには記載されていないが、PMDAの適合性調査チェックリストに記載されている(図2)。これらのSOPはCRO(開発業務受託機関)に業務委託せずに自ら行おうとする治験依頼者は、GCPに記載はなくても必ず作成しなければならないものである1)
 文書や記録の点検に関するSOP、いわゆるQC部門やQC担当者という言葉は日本特有のようであるが、このQCのSOPを作成している治験依頼者もある。
 監査手順書は監査を実施する監査部門のSOPであり、治験依頼者は作成しなければならないSOPとしてGCP省令第23条(監査)に記述されている。その一方で、GCPには規定されてはいないものの、監査を受けるための被監査部門のSOPや、規制当局の調査を受ける場合の対応手順を定めている治験依頼者もいる。

意思決定手続きと組織体制
 PMDAの適合性調査チェックリストでの確認事項を見てみると、意思決定手続きと組織体制(部門の独立性)に関しても決めておく必要があることが分かる(図2)。意思決定手続きとは、治験を開始する時、中断中止する時、さらに開発中止する時などの治験依頼者としての意思を決定する手続きのことを指している。
 GCP省令が公布される以前の旧GCPでは、治験依頼者は「治験の依頼に先立ち、予定している治験の内容について倫理的・科学的な観点から検討を行い、その結果に基づき当該治験の適否を判定する」ということが求められていた。いわゆる社内IRBと呼ばれているものであり、これも治験依頼者としての意思決定手続きの一つと言えよう。現行のGCP省令では社内IRBは求められてはいないが、第5条(毒性試験等の実施)のガイダンスにおいて「当該治験の倫理的及び科学的妥当性が裏付けられていることを保証すること。また、そのための手続きを文書で定めること」と記載されており、旧GCPと同様の記載となっている。このことからも、社内IRB若しくは類似の会議体を設置している治験依頼者も多い。必ずしも会議体である必要はなく、また治験開始時だけではなく、前述のように治験を開始した後の中止中断も含めた手続きを定めておきたい。
 

 PMDAのチェックリストでは「開発担当部門、安全性情報部門、監査部門等の位置付け」と書いてあるだけで、これらの部門の独立性を確認するというようには読めない。しかし監査部門の独立性についてはGCP省令第23条(監査)で明記されている。また、安全性情報部門の独立性につい てはGCP省令のどこにも言及されていないが、安全性情報を収集し評価して時には治験の中止を判断する役割を考えると、治験を促進する役割を持つ開発担当部門とは独立していることが望ましいのだろう。GVP省令では販売部門から独立した安全管理統括部門の設置を求めていることからも、開発担当部門と安全性情報部門の独立性も必要である。これら3部門が独立していることが分かるような記載をSOPで考慮したほうがよいだろう。

 

 

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