ラボ・生産設備における省エネルギー化【第5回】

2013/07/29 施設・設備・エンジニアリング

はじめに
 前回で電気と熱の基礎的な話をしましたが、今回はこれ等のエネルギーを用いた応用機器に関する事柄を取り上げたいと思います。ヒートポンプ技術、コジェネレーション、再生可能エネルギーの利用などについていくつか述べてみたいと思います。
 
1 ヒートポンプとは
 ヒートポンプとは少ない投入エネルギーで、空気中などから熱をかき集めて、大きな熱エネルギーとして利用する技術のことです。 身の回りにあるエアコンや冷蔵庫、最近ではエコキュートなどにも利用されている省エネ技術です。ヒートポンプを利用すると、使ったエネルギー以上の熱エネルギーを得ることができるので、大切なエネルギーを有効に使えます。
(ヒートポンプ蓄熱センター資料より抜粋)
 
 日本で販売されている最新のヒートポンプ機器は1の投入エネルギーで6の熱エネルギーを得ることができます。高効率なので電気の消費量は1/6となります。またヒートポンプ機器の効率は年々向上しています。
 下図は性能の向上が最近大きくなっていることを示しています。
 
出典:(ヒートポンプ蓄熱センター資料より抜粋)
 
 ここで
 COP;冷却・加熱能力(Kw)÷消費電力(Kw)
 AFP;年間給湯効率で一年を通じて、ある一定条件のもとに機器を運転した時の単位消費電力あたりの給湯熱量
 
 ターボ冷凍機、エコキュートのCOPに関して上図はこの通りだと思います。しかし、私見になりますが、家庭用エアコンがCOPで6を超えるのは納得がいきません。確かに年間を通じると負荷平均は50%以下であるので最近の機種は低負荷時の効率が高くCOPが6を超える数値を出しているかもしれませんが、筆者のような昔の基準で育ったエンジニアには何となく違和感があります。(調査不足で誠に申し訳ありません。)
 さてこのように単体でも効率が上がっているヒートポンプですが、この特性を用いて更なる省エネルギー対策を考えることにします。
 

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執筆者について

佐藤 典男

経歴 FS工房株式会社 代表取締役社長。
1975年 日本揮発油株式会社(現日揮株式会社)に入社。その後日揮プランテック株式会社に転職。2011年定年退職。2011年起業、現在に至る。日揮在職中は原子力関連設備、病院、研究所、食品工業、医薬品工場などの空調換気設備、給排水衛生設備、特殊設備などの設計、建設などを担当。これら設備の省エネルギー対策にも精通し、ESCO事業の立ち上げに参画。半導体工業、窯業、精密機械工業、金属加工などの分野でのエネルギー診断で実績多数。エネルギー管理士。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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