基礎からのGPSP【第4回】

~調査ガイドライン②~

2.現行ガイドライン等の調査・試験の種類
本ガイドラインは、1993年6月に初めて示されたガイドラインに基き、薬時(機)法関連法規の改正等に併せ、前号で解説したとおり1997年3月、2000年12月、2005年10月に審査管理課長通知として示され、順次改定されて、2017年のGPSP省令改正に合わせ現時点で示されている調査試験等を以下のとおり定めたものである。
 
2.1. 調査・試験の基本的考え方
医薬品GPSPに準拠して製造販売後に実施する調査及び試験には、使用成績調査、製造販売後臨床試験、製造販売後データベース調査があり、承認条件や承認時に指示されたとき、疑問点が生じた場合に必要に応じ実施するとき、有効性及び安全性等に関する情報を検出又は確認するために実施するときがあるとしている。また、一つの調査又は試験で様々な情報を得ようとすると結果が曖昧になる可能性もあることから、目的を明らかにし目的毎に行うことを推している。
2.2. 使用成績調査について
日常診療下での治療状況を調査する手法全般を使用成績調査と定義され、そのうち医薬品を使用する患者の条件を定めることなく、情報を収集する調査をこれまで定義されていた使用成績調査を一般使用成績調査と改め、医薬品を使用する患者の条件を定めて行う調査をこれまでと同様に特定使用成績調査とした。そして、新たに特定の医薬品を使用する患者の情報とその医薬品を使用しない患者の情報とを比較することによって行う調査を使用成績比較調査として示され、3区分に整理された。
(1) ガイドライン制定まで
1) 10,000例の症例収集 
再審査制度が昭和54年(1979年)より制定・施行され、再審査申請のための情報集積が大々的に開始された。これまでにおこなわれていた副作用定期報告のために実施されていた調査より、調査期間が長期化し6年間であることから、とにかく沢山集める、未知の副作用も十分集められるように、稀にしか報告されないような副作用も把握できるようにとの考えで、「10,000症例位は集めなければ」との方針が立てられ、「0.01%の発現頻度の副作用も把握し、種々の副作用発現頻度を把握し安全性情報を確立する」との理由がつけられた。また、承認された適応症の有効性が市販後の使用実態下でも十分に確認できるかについても調査し、承認内容の評価もすることとされていた。
(1) 一般使用成績調査
  未知の副作用の把握、使用実態下における副作用の発生状況の把握、影響を与える要因等を
     検出することを目的としておこなう調査である。
   1) 要点
     ・主として安全性に焦点をあてた調査を行うが、オーファン等有効性に関して
         十分な情報がない場合など、必要に応じ有効性も調査する。
     ・調査症例数は医薬品の特性等により設定する。
     ・中央登録方式、連続調査方式、全例調査方式等、症例の抽出に偏りを生じない
         方法にて、プロスペクティブに調査する。
     ・未知の副作用を確実に拾い上げるため有害事象について調査及び追跡する。
   2) 調査票
     ・副作用の検出率を高めるように工夫する。
     ・安全性に関する要因分析に必要な項目を設定し情報を収集する。
     ・有効性は改善度等簡単な調査項目とする。ただし、オーファン等有効性も
         把握する必要がある場合は、客観的な評価項目等も調査項目とする。
   3) 一般的調査項目
      患者背景:イニシャル、カルテ番号、性別、生年月日・年齢、入外区分、既往歴、
      妊娠の有無、アレルギー歴の有無、合併症
      本剤使用:使用理由、投与開始日、一日投与量、投与期間
      治療経過:併用薬剤、併用療法
 
 

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