知的生産性を革新する組織構造・空間構造【第7回】

2017/04/27 施設・設備・エンジニアリング

7. 空間と知的生産性-3
 
6.4.2.インタラクション施設
情報を伝えようとしている人と、情報を知りたいという人が同じ時間、同じ場所にいなければコミュニケーションは生まれない。出会いの場が必要なのである。
インタラクション施設とは自然に人がそこに集まり、議論や対話が起こりやすい場所、空間のことであり、知的生産性を高める空間構造の仕掛けである。
 
1)広い回廊(スパイン)
広い回廊は各施設をつなぎ、多くの人が移動し同時にそこで出会い、コミュニケーションが発生するインタラクション施設でもある。コミュニケーションの空間を流動化し、範囲を広げることが出来る。
この写真はギュンター・ヘンが設計したミュンヘン工科大学の中央回廊である。
大学の複雑で孤立した多くの施設をつなぐ回廊は職員、教授、研究者、エンジニア、学生のバリアを取り払い、有効なコミュニケーションの場を提供することで、融合を果し、大学の発展に大きく寄与している。
有名なMITの無限の回廊、マウンテンビューのグーグルのオフィスも同じ考えで移動空間をメインストリートと呼んで、ループ状に回し巨大なオフィスの一体化に成功している。


図-15 インタラクション施設:施設をつなぐ広い回廊​


2)食堂
食堂は最高のセミナーハウスであると云われている。人はものを食べたり、飲んだりするとき、心理的な開放感を持つといわれている。
食堂の特徴の一つは、その施設にいる、ほぼすべての人が食事を取るためにある時間帯に集まることである。リラックスした雰囲気の中で同僚や或いは上司、他の研究員などに自由に会いコミュニケーションが出来るのである。
食堂は、食事時間以外は時間に縛られず自由に使えるという利点がある。コミュニケーションを必要な人たちが自然に集まり、インフォーマルなミーティングを時間、広さの制約がなく、自由で、リラックスした状態で行うことが出来る。その中から気付きやアイディアが生まれる。このような好条件の空間はそれほどない。
多くの企業はどのようにして有効な会議にするかは大きな課題である。
フォーマルな会議の中からは優れたアイディアが出にくいのは、会議の内容や運営の問題でもあるが、正式な会議が持つ人間関係がどうしても緊張を強いるからである。その意味で食堂は最高のセミナーハウスあるといっても良い。


図-16 インタラクション施設:食堂

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執筆者について

糀谷 利雄

経歴 1967年明治大学理工学部建築学科を卒業。
1982年大手エンジニアリング会社入社。
医薬を中心に、生産施設、研究所など多数のプロジェクトに参画し、高生産性を実現する施設のコンセプトを計画・設計する。
現在、株式会社シーエムプラス フェロー
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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