基礎からのGVP【第19回】

2022/08/19 その他

GVPの教育訓練について。

GVPの教育訓練

はじめに
GVPの教育は、安全性情報に接する可能性のあるすべての社員を対象として行われる。特に医薬情報担当者や安全管理部門に属する者から全社員に至るまで、GVPに関する活動のレベルアップをはかるために、教育計画の立案から実施、確認に至る各段階の行動を手順として規定している。

1.医薬情報担当者教育
(1)概要
医薬情報担当者(MR)とはGVPで「医薬品の適正な使用に資するために、医療関係者を訪問すること等により安全管理情報を収集し、提供することを主な業務として行う者」と定義されており、また、MR研修センターの定義においては「医薬品の適正な使用と普及を目的として、会社を代表し医療担当者に面接のうえ、医薬品の品質、有効性、安全性等に関する情報の提供・収集・伝達を日常業務として行う者」旨とされている。
GVPにおいては、教育の内容について特に定められてはいないが、多くの会社ではMR研修センターの導入教育・継続教育で示されているカリキュラムも活用しながら、教育内容及び時間を設定している。なお、GVP前のGPMSP(Good Post-Marketing Surveillance Practice )においては、現在の安全確保業務と製造販売後調査等の業務を合わせて教育が実施されていたが、分離後はGPSP(Good Post-marketing Study Practice)に関わる内容については必須ではなくなっているが、製造販売後におけるMRの役割(=医療現場と企業を直結させる、医療現場で企業を代表するものとして)を考えると、GPSPの手順書等を規定していない企業においても最低限必要な知識は教育内容に含めるべきと考える。

(2)実施方法
1)計画作成
計画書作成の留意点はMR研修担当者と十分相談のうえMR教育のプログラムとして社内統一した内容を決定することにある。教育を受けるMRにとってより効率的な方法を設定することが、理解度のアップに直結する。
a) 導入教育
医薬情報担当者としての導入教育計画の一部(完全に組入れられた)のカリキュラムとして10時間程度で製造販売後の安全対策としての安全確保業務と調査等業務につき、全般的な内容を理解する。そして、最低限、自身が医療機関等を訪問している際に入手した、有害事象に関する連絡票を適切に安全管理部門に提出できる、使用上の注意改訂のお知らせ等の情報的確に配布できるレベルに育成することである。
b) 継続教育
1年ごとに、到達レベルを明示して、重篤有害事象等の詳細調査、添付文書改訂時の情報伝達がその理由を含め適切に説明できる、製造販売後調査等の対応が的確に出来るなど、経験年数に応じて対応できるように指導することが求められる。
2)教育の実施
教育方法は、様々の方法をとることが可能であるが、出来れば適正な人数での集合教育が効率がよいと判断できる。
a) 集合教育による実施
b) 自己学習による
(3)実施管理
教育の実施状況につき、報告書を作成し最終的にはGVPについては総括に、GPSPについては調査等管理責任者に報告され保管されることとなる。
1)実施報告書の作成
教育の実施者は、教育内容及び受講者等の記録を教育終了時点で作成し手順書に定める手順で報告しなければならない。
2)実施結果の確認(評価) 
教育の成果について求められることがあり、教育時間に関する評価(計画されたカリキュラムを全て終了したとする時間的な評価)と、確認試験などを実施しその理解度を評価する(80点以上を適として、それ以下は再教育を実施する)などの方法がある。これらの結果についても報告・保管される。
3)実施記録の保管
MRの研修記録は、研修センターへの記録に併せ作成し、MR研修担当部門での記録の保管を依頼するとともに、必要時いつでも閲覧できる保管状況になっている体制を構築する。
 

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執筆者について

草間 承吉

経歴 医薬品、医療機器、医薬部外品等の開発から製造販売後までの安全確保業務を黎明期から30年以上にわたり幅広く経験・管理・監督してきた。この間、業界活動においては製薬協PMS部会や東薬工医薬品安全性研究会、日薬連安全性委員会等でDSUやPMS担当者研修講座の設立等にも関与した。これらの経験を生かし15年前にPMSフォーラムを設立し、製薬企業等からの業務相談に対応しながら、指導・教育に努めている。 ※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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