業界雑感 2017年1月

 作年末百貨店で荷物の配送を依頼したところ、年末で込み合っており3-4日かかると言われた。できるだけ早く、とお願いしたのだが実際届いたのも3-4日後であった。同じ時期に頼んだネット通販では予定通り翌日配送されていたので、どうやら込み合っていたのは百貨店側の発送業務だったのだろう。

 宅配業者サイドでは取扱量は増えているにもかかわらず、大口契約で単価が抑えられており、人件費も増加するため収益は上がっていないという。不在再配達も増え、配送のドライバーの負担が大きくなる。昨年末、宅配大手のドライバーが配達中に客の荷物を投げたり、叩きつけたりしている動画がスクープされていた。誤配送や荷物の紛失なども結構あるようだ。仕事量の増大に管理のしくみや人材の確保、養成が追い付いていない、いわゆる物流品質が低下しているのではないだろうか。

 PIC/Sでもガイドラインとして定められているため、日本でもGDP(Good Distribution Practice)に関する論議が本格化してきた。

 原料の入手から原薬・製剤の製造、卸を経て最終顧客に渡るまでのサプライチェーン全般において、品質を維持し、盗難や事故を避け、偽薬や改ざんされた製品が供給ルート中で混入することを防止するための基準であるから、自社内でほぼ対応できるGMPと違って適用範囲が圧倒的に広い。ほとんどの医薬品は専用の流通経路を確保しているとはいえ、緊急時には宅配を使うケースもある中には前述のような不心得な業者もいることだろう。ましてや、悪意を持って盗難やすり替えが行われたとしたら、どこまでメーカーが責任を負えるのか、と考えてしまう。

 そんな中、「ハーボニー®配合錠」の偽造品が、奈良県に加え、京都府・東京都及び大阪府における薬局及び卸売販売業者への立入調査により、東京都で同様の特徴を持つ偽造品が発見されたという。使用済みの空ボトルを利用していたのだろうが正規のボトルに入っていたので表示情報も正規のものだから、ボトルだけで調剤薬局が偽薬と判断することは難しい。蓋部分のアルミシールは開封後の安定性の問題から破らずに患者に渡すそうなので、今回のように患者が服用時に気が付かなければ、発見は更に遅れていたことだろう。

 1瓶(28錠入り)あたり約153万円もする高額薬剤であるから、さぞ手の込んだ偽造がされていたはず、と思っていたが、写真(http://www.pmda.go.jp/files/000216059.pdf PMDAウェブサイトより)で見る限りひどいものである。添付文書や個装ケースもなかったというので、良識ある薬局であれば、と考えないわけでもない。

 GDPというと、メーカーの立場では流通過程で温度・湿度・光により製品品質が劣化しないことを担保することを第一に考えがちであるが、直近の事例から流通の取り扱いの問題や偽薬防止等のほうがより深刻な課題であることを思い知らされた次第である。

※この記事は「村田兼一コンサルティング株式会社HP」の記事を転載したものです。

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