業界雑感 2016年10月

 食品への異物混入のニュースが後を絶たない。10月後半だけでも大手ラーメンチェーン「幸楽苑」で、調理中のパート従業員が誤ってチャーシュースライサーで左手親指を切断し、その一部が客の注文したラーメンの中から見つかった問題。はごろもフーズの「シーチキンLフレーク」(缶詰)にゴキブリが混入していた問題。回転すしチェーンのスシローで出されたすしにイモムシが混入(付着)していたと報じられた問題など。普段なじみのあるメーカーやチェーン店であるだけに、注目してしまう。

 スシローのイモムシ事件については、穴子すしということなので煮穴子か焼き穴子とすれば、イモムシが一緒に調理されたものかどうかは現物をみればわかるはず。報道では現品の写真もなく、関係者の話だけなのでそれ以上の推測はできないのだが、報道にある発見時の状況等を勘案すると、製造過程での混入の可能性は限りなく小さいと考えざるを得ないのだが、ほかの二件は明らかに製造工程中の問題である。

 医薬品製造の場合も同様なのだが、特に異物に関しては想定外の事象によって混入するのが常である。想定できる混入経路は今業界で主流となっているリスクマネジメント、リスク分析によりその原因も推定できるので、混入対策をきちんとしておくことでリスクを軽減することは可能なのだが、 想定外は想定できないから対策もとりようがない。

  その前提で考えると、チャーシュースライサーで指を切断するリスクは十分想定できるのだから、その後の報告や処理の手順をあらかじめ周知徹底しておけば、問題発生は防げたはずである。 食品を扱う場所にゴキブリがいることも製造工場と しては想定内であるから、防虫防鼠対策として環境管理や衛生管理に気を配らなければならないのは当然であるが、ここでも問題は発覚後の対応のまずさである。苦情を受け付けたのが10月13日、ホームページで公表が10月27日、なんと2週間も要している。 以下がその「お詫びとお知らせ」にある概要・経緯の全文であるが
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10 月 13 日にお客様から「製品に虫が混入している」とのお申し出があり、 調査したところ、製造工程で混入した可能性が高いことが判明しました。
弊社といたしましては、製造日から1年 10 ヶ月を経過し、他のお客様からの お申し出がないことから、連続性はなく、現在販売している製品につきまして は、安心してお召し上がり頂けると判断いたしております。 
現時点では連続性がないことから、「食品企業の事故対応マニュアル作成の ための手引き」に準じて対応を行い、またお申し出いただいたお客様への対応 を最優先させていただいたため、結果として公表が遅れたことをお詫び申し上 げます。なお、当該工場に対し、整理整頓、清掃の徹底に加え、防虫対策、専門業者 による消毒の徹底を指示し、既に実施しております。 
今後、万全を期すため、継続的に異物混入防止対策、防虫対策を講じ、品質 管理体制をさらに強化して参ります。 何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。
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 この発表により、1日で900件以上の苦情や問い合わせがあったという。 それで翌28日に追加された発表が「発生事実を真摯に受け止め、同様の事例が発生しないよう、より一層の品質管理の徹底を図るため、当該工場における弊社製品の製造を休止いたします。」である。

  一昨年暮れにペヤングソース焼きそばにゴキブリが混入していた事件の対比をすると、発覚から当該製品(全ロット)の回収発表に2日、外部機関の調査結果から当該工場の全製品回収、工場の操業停止の決定までに1週間である。操業再開し販売再開には約半年を要している。この対応の速さと内容で販売再開は待ち望まれ、会社としての信用も逆に得られているのである。あれだけ大きなニュースになり、同じ食品業界にいるのであれば知らないはずはないと思うのだが。


 アステラス製薬と化血研との事業譲渡交渉は、破談となった。他社との交渉や自主再建も模索して、と報じられているが問題にされているのがサイエンスではなく企業文化とか経営理念なのだということがわからないのだろうか、と思ってしまう。ワクチン事業としてシェアも高く、国民の健康と直結しているだけに、今後の動向に注視していく必要がある。 


※この記事は「村田兼一コンサルティング株式会社HP」の記事を転載したものです。

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