医薬原薬の製造【第22回】

2017/01/26 原薬

マイクロリアクターのスケールアップ
 
マイクロリアクターでは混合の効率を上げるために、流路の幅と、厚みを非常に小さくしています。ラボ用のリアクターである日立の製品では、高さ0.15mmX幅0.25mmとなっています。海外のメーカーのラボ用のリアクターはほぼこの程度です。これを数百から千個並列につなげることができればプラントスケールまでスケールアップは可能です。しかし、マイクロリアクターの開発メーカーは、ラボ用のリアクターを大きくした大型マイクロリアクターを開発しています。これらを開発しているメーカーは私が調べた限りでは、以下の3社です。
  Corning
  Lonza
  Chemitrix
上記3社の製品の製品規格を以下に示します。


情報源
https://www.corning.com/worldwide/en/innovation/corning-emerging-innovations/advanced-flow-reactors.html
http://www.ehrfeld.com/en/products/lonza-flowplater.html
http://www.chemtrix.com/products
http://bio.lonza.com/uploads/tx_mwaxmarketingmaterial/Lonza_PowerpointSlidesCollections_MicroreactorTechnology.pdf
 
これらのデータからいろいろな事が言えます。下記にそれを列記します。
 
研究用のマイクロリアクターの流路径は0.1-0.3mm、内容量は10μL程度です。この数字から研究用のマイクロリアクターの生産性を計算します。生産性を高くするため滞留時間を3秒まで縮めたと仮定すると、流量は0.01/3*60=0.2ml/minです。生成物の濃度を10w/v%とすると、生産性は0.02g/min = 1.2g/hr = 28.8g/dayこの装置をいくつも集めることを考えますと、10個で288g/day。100個で2.88kg/day。1000個で28.8kg/day。パイロットスケールでは、10-100kg/dayの生産性は確保したいので、パイロットスケールでも1000個程度のリアクターを並列にせねばなりません。こんなことが可能かどうかは別として、考えている企業は今の所無い様です。実際、スケールアップ用のリアクターでは、流路の高さ10倍以上(研究用は0.1mm程度、パイロットでは1mm以上)、リアクターの内容積も100倍以上にしているのが表から読み取れます。またミキサー部の幅も広くなっています。これらの事実は、どの企業も、ラボ用の超小型リアクターの条件をそのままプラント用のリアクターにそのまま適用しようと考えているのではなく、バッチ反応同様スケールアップ用のマイクロリアクターを開発してこれを使うことを考えていることを示します。このことは、ラボ用マイクロリアクターの反応条件がそのままプラントスケールの反応に使えるわけではなく、スケールアップ用マイクロリアクターでスケールアップ条件の検討をする必要があるということを示しています。

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執筆者について

森川 安理

経歴 アンリ・コンサルティング 代表。
大学修士課程で有機化学を専攻後、1977年旭化成工業(株)入社。スクリーニング化合物の合成、プロセス化学研究に一貫して従事。この間薬学博士号取得。その後、医薬原薬の工場長を10年経験。工場長として、米国、イタリア、豪州、韓国の当局の査察および、制癌剤を中心にする治験薬の受託生産を経験。旭化成ファインケム(株)を2013年2月末退職。2013年3月より現職。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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