エッセイ:エイジング話【第35回】

自粛とdistillation

~自粛とdistillation~

 ノーベル物理学賞(2021年度)を受賞された真鍋淑郎氏は、受賞が決まった時の会見で「米国ではやりたいことをできる。他人がどう思おうが私は気にしません。実際のところ、他人を傷つけたくないけど、彼らが何を望んでいるかは知る由もありません」(朝日新聞デジタル2021/10/06-より引用)と語られました。


Ⓒ朝日新聞社 ノーベル物理学賞の受賞が決まり、会見する真鍋淑郎さん2021年10月5日、米ニュージャジー州、藤原学思撮影

 これは真鍋淑郎氏が米国籍であり、これまで日本に帰らなかった理由を問われた際の返事でした。さらに、「米国での暮らしは素晴らしいと感じます。おそらく、私のような研究者は好きなことが何でもできる。使いたいコンピュター、欲しいものはすべて得られました。私は調和の中で暮らすことはできないものですから、それが私が日本に帰らない理由です」と続いて語られました。
 この語り口を聴き、いったん真鍋淑郎氏はオレ流の人かと思ってしまいました。ところが別のニュース番組で真鍋淑郎氏が日常の生活で接する理髪店やレストランの人達からのインタビュー発言を聴くとそうではなく、他人を思いやる気持ちを持ちながら周りへの配慮に長けた人柄が伺えたのです。
 マスメディアは一面を捉え強調する傾向があり、分かり易く白黒をつけする傾向があります。一度マスコミから発信された偶像を覆すには、多大なエネルギーが要るなあーと感じます。

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