ゼロベースからの化粧品の品質管理【第16回】

化粧品GMP手順書の作り方 ④原料(・材料)の管理

 前回は③機器の管理で、大枠で捉えた生産機器、検査機器の管理の考え方についてお話ししました。機器の管理というと、一般的には検査機器の校正管理のイメージが強いようですが、直接生産で使用する機器も含めてお話しました。
 今回は④原料の管理について考えてみたいと思います。原料は、製品の安全性や物性、品質への影響が大きいことから、単なる原料の取扱い手順の案内ではなく、大局的な視点から押さえるべき肝についてお話したいと思います。

1.  原料の採用に際する基本要件
 化粧品で使用される原料は大きく分けて、一般化粧品での使用と医薬部外品で使用に二分されます。化粧品用の原料は、一言で言えば“自己責任の範疇で安全性を確保しているもの”になります。少し補足するならば、‟ネガティブリスト”と‟ポジティブリスト”に記載されている原料は制限内で使用すること、医薬品用原料は使用実績の範疇で使用することになります。そして、使用した原料は、全成分表示をすることが義務付けられています。一方、医薬部外品では、『医薬部外品原料規格』に収載された原料、若しくは、個別に承認許可を得た原料に限定されます。何れにしても、安全性が確実に担保されていることが必須です。しかしながら、現実には、化学名が同じであることの確認のみで、該当品の安全性の確認を行わずに安易に海外原料を採用するケースを耳にします。しかし、次に示す安全性の確認を行わないで使うことは避けなければなりません。

<探索時に確認すべき事項>
1)皮膚に刺激、毒性を与えないこと
2)皮膚の生理作用を妨害しないこと
3)皮膚に生理的変化を与えないこと
4)微生物の育成を促進しないこと
5)安全性(一次刺激、光毒性、粘膜刺激、連続塗布刺激、損傷部位一次刺激)が高く、臭いや色等の物性の安定性が高いこと

<基本的な要求事項>
1)法律規制に適合していること
2)安定性に優れていること
3)安定供給が担保されていること(納期、量、品質)
4)化粧品原料に相応しい機能と性質を持っていること

<必要な技術情報>
1)原料の起源(生物由来原料は元原料の原産国、使用部位、遺伝子組み換え原料)
2)アレルギー物質特定原料
3)残留農薬、残留溶剤
4)供給者の品質システム
5) SDS その他安全性にかかる情報

<原料採用に際して明確にすべき事項>

 上記情報を正確に把握するためには、原料の起源、製造工程および管理体制を把握することが必須です。しかしながら、該当原料の製造元は化粧品以外の用途の大きな顧客を抱えているケースが多く、小規模の購入者の情報の開示の要求にはなかなか対応して頂けないことが一般的です。但し、そのような状況でも、人的被害を避けるために情報開示は必須であることを強く訴えること、自らもインターネット等で調べることや過去の使用実績を把握して判断することも必要です。

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