厚労省「コンピュータ化システム適正管理ガイドライン」の要点(10)

4.新ガイドラインとその解説(第9回の続き)
 新ガイドラインにおける重要な項目について以下に説明を加えた。より詳細な解説については日薬連から発行される解説書を参照して頂きたい。
 
4.6 プログラムの作成及びプログラムテスト
開発責任者は、必要に応じて、供給者にプログラム作成及びプログラムテストを実施させるものとする。プログラム作成及びプログラムテストには、以下の内容が含まれるものとする。
4.6.1 プログラムの作成
(1) 供給者は、プログラムの仕様に関する文書(以下「プログラム仕様書」という。)を設計仕様書に従って作成するものとする。
(2) 供給者は、プログラムをプログラム仕様書どおりに作成するものとする。
4.6.2 プログラムテストの実施
(1) 供給者は、プログラムテスト方法、プログラムテスト結果の判定方法及び判定基準を記載したプログラムテストの計画に関する文書(以下「プログラムテスト計画書」という。)を作成するものとする。
(2) 供給者は、プログラムテスト計画書に基づき、プログラムテストを実施し、その結果を記録するものとする。
(3) 供給者は、プログラムテストの結果の適否を判定するものとする。
 
 コンピュータ化システムの開発はユーザ企業(製薬企業)が自社でシステム開発をする場合を除けば、基本的にはサプライヤ(供給者)が担っている。CSVの取り組みにあたっても極論を言えば、ユーザ企業は要求仕様書(URS)を作成するのみでシステムの開発や完成して運用前のPQまではサプライヤが主体で行っていることになる。だからこそユーザ企業は、知識や経験の豊富なサプライヤを選択することが何より重要であり、このためのサプライヤアセスメントが大事な取り組みとなる。
 本ガイドラインやGAMPガイドにおいてもサプライヤアセスメントやサプライヤ監査を求めているが、2011年1月にEUROPEAN COMMISSIONから発行された「EU GMP Annex 11: Computerised Systems」においても下記のように記載されている。(図.1)
 
3. Suppliers and Service Providers
3.4 Quality system and audit information relating to suppliers or developers of software and implemented systems should be made available to inspectors on request.
 
3.サプライヤとサービスプロバイダ
3.4 ソフトウェア及びシステムを実装したサプライヤもしくは開発者に関連する品質システムと監査情報が、当局の査察官の要求に応じて提示できなければならない。
 
図1.EU GMP Annex 11: Computerised Systemsの概要
 
 つまり、CSVにおけるサプライヤの役割の重要性から考えると、システム開発や設備・装置の開発を依頼するユーザ企業は、サプライヤやこれらを取りまとめるエンジニアリング企業も含め、いかに信頼のおける業者を選択するかということがCSV取組みの勝負処ということになる。
 本項におけるプログラム開発に関する取組みは、ソフトウエアカテゴリ5(カスタマイズアプリケーションソフト)の場合に対応が必要となる。それ以下のカテゴリの場合は、その都度、プログラム開発を行うことはなく本項への対応は不要となる。
 しかし、サプライヤにおいてはカテゴリ3の標準システムやパッケージであっても、初期のシステム開発は行われることになり、CSVの取組みは必須となる。また、CSV実施のエビデンスとして、供給者アセスメント時に提示できるようにしておくことが必要である。
 このことは取りも直さずサプライヤにおいてもCSVの取り組みの基準やルール(つまり「サプライヤ版CSV管理規程」)を作成することが必要である。
 厚労省から新ガイドラインと同時に発行された「医薬品・医薬部外品製造販売業者等におけるコンピュータ化システム適正管理ガイドラインに関する質疑応答集(Q&A)について」(事務連絡)には46項目に及ぶQ&Aがまとめられているが、この中から上記に関連したQ&Aを2つ紹介する。
 
問5
 「2.適用の範囲」に「このガイドラインは、コンピュータ化システムを使用してGQP省令及びGMP省令が適用される業務を行う製造販売業者等に適用する。」とされているが、開発業務や運用業務等を外部の専門業者に委託する場合、このガイドラインの適用は受けないのか。
 
回答5
 製造販売業者等が外部の供給者に開発業務や運用業務を委託する場合、このガイドラインに基づき供給者に適切に業務を行わせなければならない。また、外部の供給者においては、適切な品質保証のシステムのもとで委託された業務が遂行される必要がある。また、これらを確実にするために、業務委託契約等で、これらの事項について取決めを締結することが望ましい。
 
問34
 脱イオン水、蒸留水などの各種製造用水の製造管理に使用されているコンピュータ化システムについては、どのカテゴリが適用されるか。
 
回答34
 市販のシステムをそのまま設置し、単体で利用する場合には一般的にカテゴリ3に該当する。また、使用目的が限定されており、温度、圧力、導電率等、数種のパラメータのみで制御している場合であって、供給者で機能の検証がされている場合には設備の適格性の確認に含めて実施することで差し支えない。
 ただし、供給者においてシステムが適切に検証されていることを示すことができるようにしておくことが必要である。
 
 問5においては製造販売業者等(ユーザ企業)が外部の供給者に開発業務や運用業務を委託する場合においても、このガイドラインに基づきサプライヤに適切に業務を行わせなければならないとしている。また、問34に関してはカテゴリ3の製品であっても、サプライヤにおいてはシステムが適切に開発され検証されていることを示すことができるように文書化しておくことを求めている。ユーザ企業はカテゴリ3の製品であれば設備としてのバリデーションを行えば良いが、サプライヤの場合はカテゴリ3の製品であっても初めに開発する場合においてはCSVの取組みを実施して、それを文書化しておくことが求められているということである。

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