医薬品開発における非臨床試験から一言【第18回】

ラットを用いた全身オートラジオグラフィーの標本作成はノウハウの塊で、各施設に秘伝の技が伝授され、同好の志が集まると、技の交換に盛り上がります。ここで、少し種を明かしてみます。我々は、古参の研究者からの口伝により、「全身オートラジオグラフィーの実験にはコンドームが必須である」と聞いていました。「なに! ネズミの実験にコンドームを使う」との話の続きは、この後の楽しみに読み進めてください。
この図はラットに14C-標識体を静脈内投与したものです。



体内分布の試験法には2種類あり、前回は組織摘出法を解説しました。今回は定量オートラジオグラフィー(QARG:Quantitative Autoradiography)による評価ポイントを解説します。定量全身オートラジオグラフィー(QWARG:Quantitative whole body Autoradiography)とも呼びますが、本稿ではARGあるいはQARGと略します。組織摘出法では、直接に放射能濃度を測定しますが、ARGでは、体内分布を画像で示し俯瞰的な情報を提供します。さらに、QARGでは、画像解析により放射能濃度を定量的に示すことができます。

げっ歯類を用いたQARGでは、正常ラットの雄、7週齢程度を使用し、1夜絶食の後に、被験薬の放射性標識体を投与します。例えば、14C-標識体を用い、非標識体ベースの投与量は、臨床投与量を参考に、血中濃度試験の「線形領域」で決定します。但し、14C-標識体投与量は、組織摘出法より多くして検出感度を上げます。測定時点は組織摘出法と同じか、やや少ない時点数とし、投与後1、6、24、48時間などにします。投与後の遅い時点は放射能が消失して、何も検出できない画像はつまらないので、実験に加えません。また、1時点に1例が多いようです。

投与後の所定時間にラットを過麻酔により安楽死させ、ドライアイス-アセトンに浸漬して凍結固定を行います。購入直後のアセトンは冷えすぎてラットにヒビが入るため、少し水を加えて冷却温度をコントロールします。この時、ラットをコンドームに入れて、先端に100gの分銅を縛り付け、尻尾をタコ糸で固定してアセトンの中にぶら下げ、凍結姿勢を真っすぐに保ちました。コンドーム法は、-70℃のアセトンで使用でき、ラットがアセトンに濡れず、-40℃のフリーザー保存にも耐える優れた手法と思われました。

凍結したラットは切片作成時に取り出して、すばやく四肢の先端と尻尾を落とします。次にラットの毛ぞりを行いますが、液体窒素に短時間浸漬し皮膚表面の体毛を急速凍結して、歯ブラシで摩擦すると、面白いように瞬間脱毛のような毛ぞりができます。
 

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