医薬品工場に求められているHSE要件と事例【第14回】
2021/04/23
品質システム

国内製薬企業の「GMPの無菌室管理とHSEの高活性曝露管理」
1、 製薬企業のあるべき姿
GMPとHSEは製薬企業の生産活動を行う上での両輪です。どちらが欠けても事業活動に大きな支障をもたらすことになるものと思われます。製薬企業として患者様に継続的に医薬品をお届けするという社会的責任のみならず、GMP規則に従いコンタミ防止を図り患者様の健康被害を防止し、治療に貢献する。又、HSEは製薬企業では工場で働く従業員の皆さんの原薬曝露による健康被害を予防できるようハード面ソフト面のリスク対策を徹底的に実施する事が重要です。特に後者はリスクマネジメントを行い技術レベルの高いリスク低減対策を実施して運用を行うことが求められています。つまり、GMPの規則を守るのみならずHSEのリスクアセスメントを行い、リスク低減を図ることで初めて両輪がバランスしていることになります。
GMPは混入薬物や異物による患者様の健康への悪影響を配慮するものなので、法的要求を生産中の生産機械、建物設備、空調設備、サンプリング作業などハード、ソフトに厳格に取り込み、異物混入防止などを図らねばなりません。更に高活性無菌生産の場合には生産終了後の洗浄後に無菌室の殺菌が行われます。さて、この洗浄剤や殺菌剤が他のエリアへリークしないよう空調停止と無菌室の密閉や陰圧調整など行い次の生産時に異物や雑菌などの混入が無いように図ります。なぜなら、特に殺菌剤などは吸い込むと健康被害リスクのあるものが多い(古くはホルマリン燻蒸を行っていた)ので、SDSの確認とその薬剤の健康被害リスク内容に応じたSDS上の要求をハード面ソフト面でリスク低減対策の実施がされます。一方、HSEで高活性原薬の封じ込めを行いますが、GMPの法的要求が優先されますので、生産中はハザードエリアの空調差圧を陽圧に管理せねばなりません。そのために建物構造の封じ込めや生産機械をアイソレーターにて封じ込めされます。生産終了後は上述しましたように無菌室の洗浄や殺菌を行う際はHSEの健康被害リスク対策を優先してハード面やソフト面の対応を行うことになります。HSEで守るのは生産業務に携わる作業者です。作業者の健康被害リスクを徹底的に低減して安心して作業のできる環境を作るのは会社責任でもあります。
2、 国内医薬品会社の現状
GMPとHSEが医薬品製造上の両輪でなければならないことは国内のみならず国際的に求められています。GMP要求事項は、欧米が先行して日本国内に厚労省を通じて運用されることが多いと聞いていますが、歴史的にHSEは欧米の先行があってもリスクアセスメントに対する基盤が無かった国内では受け入れ法規制のごとく企業内に取り込む風土がなかった為、いまだにリスクアセスメントのソフト面の運用が遅れを取っていると言わざるを得ません。然しながら、大手外資系の製薬会社では社内国際基準を世界の事業所で取り込まなければなければならず、リスクアセスメントを行い、マネジメントシステムを回してリスク低減を行って業務を行っています。手間が大変なので手を抜くとグローバルスタンダートにてその実施状況を定期Auditで評価し、社長、事業所Headや工場長が厳しく海外の本社で査定され、国内企業とは異なる神経を使っているのではないでしょうか。従って、グローバルスタンダードでは責任者の位置付けが明記される運用となっています。然しながら、多くの国内製薬企業のHSE運用については上述のような理由で遅れているのではないでしょうか。そのことが解らない現場ラインマネージャー、工場長、事業所Head、社長はGMPとHSEの両輪のバランスが取れていないことに気が付いておられないと思います。HSEのErgonomicsや曝露管理で現場オペレーターの健康被害リスク低減レベルが不十分のままにしている国内製薬企業の現状は近い将来に欧州共同体、欧州のReach規制などが国内で法制化されたときにあわてることになるのではないでしょうか。社内基準でRegulatory Complianceを取り込み常に法改正適合をGap分析して運用出来ていない国内企業が何%あるのか。その前に法改正をタイムリーに情報入手出来ておらず、最低限重要なGMP関連法改正適応に四苦八苦している企業は何%か。ほとんど無いと願いたいですが、もしあるとしたらそのような状況下で日々曝露管理を行い現場オペレーターやその周辺環境下で何も知らないで働いている従業員の健康被害リスクを低減するHSEの対応は厳しいかもしれませんね。
N501Yで感染者対応されている医療機関の皆様へ日々のご対応を頂き感謝申し上げます。製薬業界の立場から御礼申し上げます。 皆さん! 感染予防を徹底して在宅勤務しましょう。
1、 製薬企業のあるべき姿
GMPとHSEは製薬企業の生産活動を行う上での両輪です。どちらが欠けても事業活動に大きな支障をもたらすことになるものと思われます。製薬企業として患者様に継続的に医薬品をお届けするという社会的責任のみならず、GMP規則に従いコンタミ防止を図り患者様の健康被害を防止し、治療に貢献する。又、HSEは製薬企業では工場で働く従業員の皆さんの原薬曝露による健康被害を予防できるようハード面ソフト面のリスク対策を徹底的に実施する事が重要です。特に後者はリスクマネジメントを行い技術レベルの高いリスク低減対策を実施して運用を行うことが求められています。つまり、GMPの規則を守るのみならずHSEのリスクアセスメントを行い、リスク低減を図ることで初めて両輪がバランスしていることになります。
GMPは混入薬物や異物による患者様の健康への悪影響を配慮するものなので、法的要求を生産中の生産機械、建物設備、空調設備、サンプリング作業などハード、ソフトに厳格に取り込み、異物混入防止などを図らねばなりません。更に高活性無菌生産の場合には生産終了後の洗浄後に無菌室の殺菌が行われます。さて、この洗浄剤や殺菌剤が他のエリアへリークしないよう空調停止と無菌室の密閉や陰圧調整など行い次の生産時に異物や雑菌などの混入が無いように図ります。なぜなら、特に殺菌剤などは吸い込むと健康被害リスクのあるものが多い(古くはホルマリン燻蒸を行っていた)ので、SDSの確認とその薬剤の健康被害リスク内容に応じたSDS上の要求をハード面ソフト面でリスク低減対策の実施がされます。一方、HSEで高活性原薬の封じ込めを行いますが、GMPの法的要求が優先されますので、生産中はハザードエリアの空調差圧を陽圧に管理せねばなりません。そのために建物構造の封じ込めや生産機械をアイソレーターにて封じ込めされます。生産終了後は上述しましたように無菌室の洗浄や殺菌を行う際はHSEの健康被害リスク対策を優先してハード面やソフト面の対応を行うことになります。HSEで守るのは生産業務に携わる作業者です。作業者の健康被害リスクを徹底的に低減して安心して作業のできる環境を作るのは会社責任でもあります。
2、 国内医薬品会社の現状
GMPとHSEが医薬品製造上の両輪でなければならないことは国内のみならず国際的に求められています。GMP要求事項は、欧米が先行して日本国内に厚労省を通じて運用されることが多いと聞いていますが、歴史的にHSEは欧米の先行があってもリスクアセスメントに対する基盤が無かった国内では受け入れ法規制のごとく企業内に取り込む風土がなかった為、いまだにリスクアセスメントのソフト面の運用が遅れを取っていると言わざるを得ません。然しながら、大手外資系の製薬会社では社内国際基準を世界の事業所で取り込まなければなければならず、リスクアセスメントを行い、マネジメントシステムを回してリスク低減を行って業務を行っています。手間が大変なので手を抜くとグローバルスタンダートにてその実施状況を定期Auditで評価し、社長、事業所Headや工場長が厳しく海外の本社で査定され、国内企業とは異なる神経を使っているのではないでしょうか。従って、グローバルスタンダードでは責任者の位置付けが明記される運用となっています。然しながら、多くの国内製薬企業のHSE運用については上述のような理由で遅れているのではないでしょうか。そのことが解らない現場ラインマネージャー、工場長、事業所Head、社長はGMPとHSEの両輪のバランスが取れていないことに気が付いておられないと思います。HSEのErgonomicsや曝露管理で現場オペレーターの健康被害リスク低減レベルが不十分のままにしている国内製薬企業の現状は近い将来に欧州共同体、欧州のReach規制などが国内で法制化されたときにあわてることになるのではないでしょうか。社内基準でRegulatory Complianceを取り込み常に法改正適合をGap分析して運用出来ていない国内企業が何%あるのか。その前に法改正をタイムリーに情報入手出来ておらず、最低限重要なGMP関連法改正適応に四苦八苦している企業は何%か。ほとんど無いと願いたいですが、もしあるとしたらそのような状況下で日々曝露管理を行い現場オペレーターやその周辺環境下で何も知らないで働いている従業員の健康被害リスクを低減するHSEの対応は厳しいかもしれませんね。
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