薬機法改正　変革期か改革期か【第5回】

●要旨
　スタートアップの活動に賑わいを感じる中、課題もそこにはあります。医療ニーズなどによるモチベーションの維持にはコミュニティの働きも大切です。また、資金調達は重要な課題ですが、お金以外にもリソースがあることに目を向けておきましょう。もはや医療と暮らしの境目が消えていく時代には、医療のビジネスを特別視することなく、スピード感を持って進めていきましょう。

●はじめに　スタートアップがより良い医療に貢献するには
　スタートアップ界隈の情報は毎日届く時代となりました。盛んに情報発信が行われていることに大きな意味があります。が、たくさんの失敗もあります。成功事例に学ぶだけでなく、失敗から学び、新しく道を拓いていくためには、様々な情報に耳を傾け、コミュニティに参加することが大事です。多様な感性を磨くことが、医療との向き合い方を磨くことにつながります。

１　医療ニーズとモチベーション
　ニュースなどを見ていると、新型コロナウイルス感染症（Covid-19）関連情報で曇って感じますが、医療現場では、ニーズを表明することに積極的になりました。近年のニーズへの取り組み方は、人間中心主義、ヒューマンセントリックな手法が主流です。一昔前より大きく変わったと思います。デザインドリブン開発も魅力的です。ニーズにこだわらず、こうだったら良い医療になるのではないか、あるいは、素朴な疑問の向こうに見える本質的な問題に迫る思考です。知恵の輪のように、ふとしたことで何かを発見するスタイルともいえます。一方、生産や品質まで巻き込んで考えていくには、理詰めでパズルのピースを埋める開発も必要です。

　差をつけるより特色を持つこと、ライバルができたら一緒に分野を開発すること、こんな感性も大切です。独走しすぎて何も見えていないプロジェクトは、どこにもたどりついていないことが多いものです。スタートアップは悩みながら事業を作り、社会に向き合う日々となるでしょう。

　その多くは自らの体験や共感など、医療への熱い思いがモチベーションであると感じますが、維持するためにも仲間を持つことはとても大切です。仲間を見つけ、集う機会は多くなりました。今や副業的にスタートアップも可能で、キッチンでも起業できる時代です。休日の午後のひと時に和やかに思いや経験、失敗を共有することも糧となるでしょう。心に少しの余裕を持つ時間にこそ響くものがあります。例えば、米国シリコンバレーでの週末プールパーティなどにその機能を見ることができますが、そうした環境はネットの上にも構築されるようになりました。休日のひと時に、どこからでも世界中と繋がることができます。もはや、スタートアップの活動は都会でなくても良いのかもしれません。昔のビジネスの流儀が通用しない時代なのでしょう。