医薬品開発における非臨床試験から一言【第3回】

信頼性基準の試験は何処の施設で実施しても結果が同じかは、非常に難しい課題と考えています。つまり、QC・QAを行った信頼性基準の試験は実施するベースラインの考え方に共通の部分もありますが、試験の体制は施設毎に構築され、さらに部門・部署で異なり、信頼性についても必要十分と考える認識に相違があります。最低限か、最大限か、現状はどの辺りかなど、信頼性基準の理解は大変に難しいようです。要するに、目的である信頼性が確保されておれば良いと開き直っていませんか。そのため、ここで取り上げる探索試験の定義も各施設各様となっていることを前提に読み進めて下さい。どのような方針であっても、施設基準になりますと、正確には多様性が生じているのが現実です。

非臨床試験に信頼性基準を適応するか否かの判断は実に難しい。リソース(ヒト、モノ、カネ)と時間を考えたとき、信頼性基準で試験を行うと迅速な結果は望めないでしょう。また、信頼性基準で実施した試験結果は全て保存し、創薬の評価に加えなければならない。つまり得られた結果は無視できない。一方、QCを行っていない探索試験はどうでしょうか。信頼性基準に準じていない探索試験は、責任を持って治験薬概要書の根拠資料に用いるには心もとないかもしれません。探索試験の結果が安定してから信頼性基準の試験を行うか、QCまで行い質の高い探索試験を心掛けるか、探索試験から有効な試験系を確立して信頼性基準の試験を行うかなど、創薬部門はスケジュールに頭を悩ませつつ臨床試験を目指しています。

試験資料として十分に完成し、QCを行った探索試験の結果を臨床移行の治験薬概要書に用いると、効率的な治験開始が可能です。特に薬効薬理試験は方法論も多岐にわたり、評価基準を定めるのが難しいため、探索試験を活用することは有効な手段になります。初期の治験薬概要書には探索試験から明確な結果を示し、さらに実験方法を充実させて臨床での有効性を説明し、あるいは臨床の有効性評価を容易に導くような方向に試験を進化させていく。改めて信頼性基準の試験を計画する場合は、ベースとなる試験方法の洗練性を追求し、繰り返しの試験、あるいは確認試験的な無駄は省きたいですね。

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