中国における小児用医薬品の状況

2015/04/30 その他

余 知暁

中国の医療業界では、小児とは0-14歳の人を指す。中国には多数の小児がいる。中華人民共和国国家統計局のデータによると、2013年時点で小児は2.2億人と日本の総人口を大きく超える人数であり、中国の総人口13.6億の16.4%を占める。そして2015年から2020年の5年間には年間1,900万の新生児が誕生すると見込まれている。膨大な小児人口により、2009年中国の小児用医薬品市場は既に350億元(約6,760億円)に達した。2015年の市場規模は600億元(約1兆1,592億円)と予測されている。
 

産業情報網の「2019年-2020年中国小児科用薬市場の評価及び業界予測報告」によると、中国の小児の罹患率はとても高く、2週間あたりの罹患率について、0-4歳の小児は174.2%、5-15歳の小児は76.9%である。外来診療については、小児は外来診療患者の9%を占め、且つ毎年上昇し続けている傾向がある。2005年~2010年の間、小児の外来診療は年間6%以上増えていた。うち、2008年は8%も増え、2009年に外来診療を受ける小児は累計3億人となった。中国国家食品医薬品監督管理局南方経済研究所が公布した「2013年中国児童用薬安全調査報告書」によると、児童(小児と同じ範囲)に最も多い病気のトップ5は風邪・熱、扁桃炎、気管支炎、消化不良及び胃腸炎であった。従い、抗炎症用抗生物質と消化器系の薬は児童用薬の大部分を占め、抗生物質が最も高く40%も占めている。
 

小児は、錠剤、カプセル剤などを服用するのは難しいため、主な剤形は経口液剤、顆粒剤、シロップ剤、懸濁剤、発泡剤、滴下剤などの液体製剤又は液体に調製してから投与する製剤、注射剤、貼付剤、軟膏、エアゾール剤などがある。

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執筆者について

余 知暁

経歴 株式会社シーエムプラス中国リエゾンオフィス所長、GMP Platform コンサルタント。
2005年瀋陽薬科大学を卒業、同年日系大手エンジニアリング会社に入社。GMP部門のバリデーションエンジニアとして、日本において新設医薬製剤工場設立におけるバリデーション業務、DQ/IQ/OQ要領書の作成に従事。2010年上海東富龍科技股分有限公司入社。凍結乾燥機のエンジニアリング業務での通訳及び日中間における各種契約事項の調整に携わる。2013年株式会社シーエムプラスに入社。 PMDAによる中国製薬企業原薬工場GMP調査での通訳経験を複数回有し、中国語、日本語、英語と三ヶ国語を扱う。
2018年には中国CFDA(現NMPA)が主催する『日本のGMP査察システムに関する検討会』にメンバーとして参加。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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