エチレンオキサイド滅菌の実践知識【第7回】

2015/02/02 製剤

5.EO滅菌工程のバリデーション
 滅菌により製品は無菌になります。 正確には微生物の生残確率が10-6 以下となるのですが、確かにその状態になったということは、実験的に検証することは不可能です。 ある製品中に生菌がいないことを直接的に証明するには、無菌試験が唯一の方法です。 しかし無菌試験は破壊試験ですので、試験に供した製品は、商品としての価値は失われます。 また日本薬局方などの公定書で規定されている無菌試験の条件では、生育しない微生物が多く存在します。 さらに無菌試験は、ある割合でエラー(偽陽性)が発生します。 つまり滅菌後の製品が確かに無菌になったということは、無菌試験では証明することはできません。
このように無菌という品質は、後工程でその妥当性を検証することはできません。 そのため滅菌後の製品で保証するのではなく、その製品が処理された滅菌工程が、確かに10-6の無菌性保証レベルを達成することができる、ということを前もって証明し、それと同等の条件で処理されたということを、工程の記録や検査で確認することで無菌性を保証することになります。 そして「10-6の無菌性保証レベルを達成することができる」ということを証明することこそ、滅菌工程バリデーションです。
 

5.1 滅菌工程バリデーションの考え方
 滅菌工程バリデーションは、「予め定められた規格に合致する製品を定常的に生産するということを確立するために必要な結果を得、記録し、解釈するための文書化された手法である」と定義されています。 この定義には、次に示すようないくつかの重要な要件が含まれています。

① 製品の規格は予め定められている必要がある。

② 滅菌工程は、定められた規格の製品を定常的に生産できなければならない。そのためには、工程の安定性・再現性が重要である。

③ バリデーションは工程の妥当性を確認するために用いられるものである。

④ 計画の段階から、結果報告までの全ての段階において、文書化することが必要である。

⑤ バリデーションは行為ではなく、プロセスである。

 この中で示唆されている重要な2つのキーワードは、「科学的妥当性」と「文書化」です。 これらは文字どおりバリデーションを実施する上で、重要なキーとなります。

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