現場管理者・監督者へのメッセージ(GMPの3原則から)【第4回】

2014/09/08 品質システム

4.3.原則(1)の「(1)人為的な誤りを最小限にする」の言葉は重い
 世の中の医薬品に関する不祥事、回収劇をみていると、原則(1)「人為的ミスを最小限にする」に込められた思いは非常に重い。医薬品製造に携わる人々はこの言葉を真摯に受け止める必要がある。
 すなわち「人為ミスは絶無には出来ない」、「いかに善良なる従業員でも、人はミスを犯す」ということを肝に銘じて、管理や作業を行うということである。的を射た表現だと思う。
 当然「発生防止」が望ましいが、仮に「発生防止」ができなくても、「流出防止」だけは死守するための対策を講じなければならない。すなわち、出荷判定までに不適品を確実に見つけ出すことである。
 品質不良品の流出防止ができればまだ幸いである。最低限の管理として「流出防止を保証できるシステム」がしっかり機能しておれば、不良製品の廃棄等で会社は大きな損失となるが、医療現場・患者さんへ重大な被害は回避できるからだ。
 
4.4.部下を信じられますか?
 マネジャーや係長の皆さんに「あなたは部下を信じられますか」とお聞きしたら、「部下を信じられずに現場の管理監督者なんか出来ないじゃないか!」と反論が帰ってきそうだ。
 では、「あなたの部下は絶対にミスをしないと信じられますか」と聞くとどうでしょう。誤解を恐れずに言うと、いかに世界に誇る勤勉で熟練した優秀な部下でさえも、「部下(作業員)がミスをしない」と信じてはいけない。部下を信じて無策でいるより、幾重にも対策を打つことが、結果として、その薬を信頼して使って下さる医療関係者・患者さんのためになるからだ。
 その前提に立って、マネジャーや係長の管理監督責任として、部下の(僅かな可能性を否定できない)ミスを未然に防ぐ方策を常に熟考し実行するよう心掛けなければならない。これは、結果としては部下の立場を守ることになるからだ。
 

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執筆者について

小坂井 宏

経歴 1971年武田薬品工業(株)入社。製剤化技術検討や、国内工場の製造部門・品質管理部門で製造技術・バリデーション・GMP管理・FDA査察対応などの職務に従事。工場 製造部長・製剤部長、製薬本部 品質保証部長、武田アイルランド社長(海外工場)を歴任。2013年退職。
製造所のGMP管理(製造管理、品質管理、文書管理)の実践的対応、FDA査察の実践的対応を得意とする。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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