中国等海外原薬の品質確保と調達リスク回避の考え方【第3回】

3. 品質評価
前回、原薬の探索方法や監査に先立つ製造所情報の入手の重要性などについて述べましたが、製造所情報を評価した結果、当該製造所には懸念される重大な問題がないと判断された場合、原薬サンプルを取り寄せ、品質評価の段階に駒を進めることになります。今回はこの品質評価の進め方について考えたいと思います。
 
昨年(2017年)秋、鉄鋼や自動車業界の世界的大企業が品質試験データの改ざんや無資格者による製品検査を行っていたことが世間を騒がし、日本製品の品質への信頼を揺るがしましたが、産業分野を問わず、製造業にとって品質試験・評価はその製品の品質を確定し保証するという観点から最も重要な業務の一つであることは明らかです。この観点から、原薬の新規採用に向けての一連の業務においても、品質評価は特に重要な業務と言えます。ちなみに、上記のデータ改ざんや無資格者検査などの一件のあとしばらく経った今年1月末、経験豊富な品質試験担当者の求人が激増したとのニュース報道がありましたが、このことは品質に関わってきた関係者にとって喜ばしいことなのかどうか、心中複雑ではないでしょうか?
 
さて、話を戻しますが、原薬の品質評価を行う場合、単にその原薬が所定の品質規格に適合することを確認するだけでなく、以下、述べるように、使用する医薬品への製剤化適性や経時安定性の確認など、総合的な視点で評価を進めることが重要となります。
 
3.1規格適合性評価 
原薬の品質評価に際し確認すべき第一の要件は、当該原薬が所定の品質規格、つまり、配合される医薬品の製造販売承認書に規定されている原薬規格に適合することであり、これを、数ロットのサンプルを用いて、実際に試験検査して確認する必要があります。このとき、所定の規格項目の外に、製剤適性や製剤学的修飾への影響の確認などの観点から、追加して評価すべき試験項目がないか確認し、例えば、粒度分布や溶解性などの項目についても、必要に応じて規格を設け、合わせて品質評価計画に明示し実施する必要があります。
また、数ロットのサンプルについては、試験検査に先立ち、外観(色調、粒度ほか)、匂いなどの物性にばらつきがないかを確認し、ロット間にばらつきがあると判断された場合は、品質が安定していない可能性が高いので、改めて数ロットのサンプルを取り寄せると同時に、過去のデータを詳しく確認する必要があります。
 
なお、規格適合性の確認を進める段階では、当該原薬の製造方法に関する情報の入手など薬事手続きに必要な情報の入手も同時に進めるとよいでしょう。ちなみに、製造方法に関する情報などは、PMDA(医薬品医療機器総合機構)や各都道府県所管の薬務担当課の指導に沿った内容のものを入手する必要があります。
一般用医薬品に使用する代替原薬の場合は、当該原薬の規格および試験方法が使用する医薬品の製造販売承認書に規定のものと同等であれば、基本的に製造方法等の差異は問われませんが、医療用医薬品に使用される原薬の場合は製造方法や不純物プロファイルなども、原薬等登録原簿(MF)の中で規定されている内容と整合していることが要件となるので注意が必要です。
ちなみに、化粧品の場合は配合する原料(化粧品として特定の機能を期待する原料など)の情報を薬事登録(化粧品製造販売届書に記載)する必要がないことから、原料変更に際し、医薬品のような薬事上の手続きは要しません。これにより、化粧品の場合は原料変更がより簡単に行えるという利点もありますが、半面、変更に際する品質面の検討がおろそかになり、変更後、予期せぬ品質トラブルを招くこともあるので状況に合わせた慎重な対応が望まれます。

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