製薬企業における設備保全の今後のあり方についてGMP視点から考える(6)

 新たな"設備保全"をより良くして行く方向は、前回述べたように、経営と現場が一体で推進する「総合生産保全」(TPM)活動に見られるような"現場中心型"で"全員参加型"の日本的取り組みに、"経営主導型"で"マネジメント技術重視型"の欧米的な手段を加味して、さらに統合的で、より高い効果を発揮する体制づくりに取り組むことである。日本メンテナンス協会が提唱しているMOSMSでは、「ロス」と「リスク」とを常に両方を最小とする工夫が必要なことを強調している。日本流のカイゼン的発想は「ロス低減」重視であるが、これまで取り組みが遅れていた「リスク」の最小化への取り組みを強化して両者の相乗効果により大きな効果が期待できる。
 
1.「ロス」と「リスク」を最小にする構図認識
 経営層は、生産設備が目的とする機能を発揮するための"会社としての保全方針"を、経営戦略に位置付けて明確に打ち出すことが必要であり、保全担当部門では、保全組織の「保全水準」をより高く目標化して掲げて、「ロス」と「リスク」を最小化するための課題を明確にして、その工夫を伴う実践と評価を行い、保全効果を最大に発揮させなければならない。両者が各々の責務を果たす中で、生産に関与する関連組織も役割分担し協力して、保全業務のPDCAを進めることである。高い目標を達成するための設備保全業務は、生産機能の各部門の役割分担認識を前提とするものでもある。
 
 日本メンテナンス協会が提唱しているMOSMSでの「ロス」と「リスク」の関係について図1で見ることができる。
 
図1:「ロス」と「リスク」の関係構図

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