WFI製造プロせすへの思い【第18回】

2017/11/02 施設・設備・エンジニアリング

布目 温

 インドガンジス川の水は、紀元前からこの地に住みついた人の水源であり、今も流域に住む人達の生活と切っても切れない存在です。水は人の命の源です。
 Water treatment という言葉があります。河川水など自然に存在する水を処理することです。
 水を処理する目的は2つあって、1つ目は使った水を自然水へ戻す際の処理であり、2つ目は自然水を使う用途に適うようにする処理です。
 筆者は、たまたま1つ目から入り、2つ目へ進み、純水の中でも最も高純度が要求されるWater treatmentへ進むことが出来ました。
 汚水からWFIへ進むときは、少々戸惑いがありましたが、汚水処理の分野で活性汚泥法と呼ぶ微生物処理を現場で体験でき、2つ目の分野で生かせる面もありました。
 
1. 汚水処理 (Activated sludge method)
 汚水処理といえば、対象は下水処理やし尿処理ですが、生活排水をそのまま河川へ放流すると下流でトラブルが発生します。上流に飲料水の取水口があり、下流に下水の放流口があればトラブルは起こらないのですが、流域に住む人が増えれば、生活排水の処理が必要になります。
 汚水処理の代表的な処理方法が活性汚泥法です。これは環境中に普通に存在する微生物を利用して、有機物と窒素化合物を最終的に二酸化炭素・メタン・窒素ガスに分解する方法です。
 酸素を好む微生物と酸素を嫌う微生物が存在し、これら好気性微生物と嫌気性微生物を適切な条件化で使い分けて、有機物や窒素化合物を分解処理するのです。
 代表的な活性汚泥法のしくみを以下に示します。


2. 純水装置と微生物
 純水中には微生物が生存するために必要な量の栄養塩を含まないため、多くは存在しませんが、純水を医薬品製造用である精製水として使う段になって、純水中の微生物の存在が問題視されるようになりました。
 ボイラ給水用の純水タンク内に微生物が検出されても問題になりませんが、精製水タンクから微生物が検出されると大きな問題となり、この微生物を増加させないように、殺菌操作が必要になります。
 特に日本では、精製水からWFIを造ることが一般的でしたから、当時の精製水装置の主流であったイオン交換塔内や精製水配管、精製水タンク内の微生物の挙動を調べることからスタートしました。
 この時、汚水処理において、如何にして微生物を活性化させるかという1つ目の分野の経験が、逆の視点から生かせました。
 

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執筆者について

布目 温

経歴 布目技術士事務所
技術士 衛生工学部門:水質管理
1972年栗田工業(株)入社、1992年野村マイクロ・サイエンス(株)入社。2011年布目技術士事務所(製薬用水コンサルタント)開設。製薬用水のスペシャリスト。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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