医療機器関連業界への招待【第1回】

●要旨
 医療機器関連業界へ招待するにあたり、医療関連業界についての意識について、問いかけます。業態とビジネスを考えると、参入には多様性があることがわかります。その中で、自社を見つめることが大事です。さらには、今、そしてこれから起きる医療の変化を織り込むためには、コラボレーションが必要でしょう。

●はじめに 医療関連業界を知る
 産業振興政策の中に、医療機器関連業界への参入に関する文字を見ない日はないほど、身近な話題となりました。さて、あなたにとって、医療関連業界は、特別なものでしょうか? それはイエスでも、ノーでもあります。これからの連載では、ビジネスの目線と品質確保、現場の想いを大事に、わかりやすく解説していきます。 
 医療機器関連産業への参入促進のために、様々な活動をしていると、成果を出す方がある一方で、なかなか踏み出せない、成果に繋がらない方もおられることに気づくでしょう。何が違うのでしょうか? 


図1 参入の準備

 私は、長い間に、多数の経験をしていると、どうやら、そのプロセスに違いがありそうだと気付きました。まずは、業界を知る必要があります。医療関連の業界は特別視されがちですが、みなさんのとても身近な問題でもあります。暮らしの中に、健康、医療、福祉があります。血圧を測る、マッサージャーを使う、絆創膏を貼る、メガネを装用する、など、あなたの日常にも存在しています。
 さて、その医療は、誰によって提供されているのでしょうか? 医療機関では誰が提供しているでしょうか? また、家庭にある医療機器はどこからやってきたでしょうか? それに対する支払いはどのようでしたか? こうしたことに関心を持つことから始めていくのが、良いと思います。


1 薬機法にある業態
 医療機器には、ユーザ、患者さん、家族、社会から、効果の期待が寄せられています。その一方で、安全性に対して、安心したいと思っています。医療という、保健衛生上の課題に対して、規制と振興をバランスよく行うことが肝心です。このため、薬機法には、二つの面があり、それらを業として行うことに対して、一定の縛りが存在しています。


図2 薬機法の目的 総則より抜粋

 医療機器関連業界には、様々な業態があります。製造をする、製造販売をする、販売、授与、貸与をする、修理をする、といった行為に、品質の確保に工夫が必要です。もちろん、意図した性能の発揮と安全性の確保のバランスも大事な設計です。


図3 業態と流れ

 製造には、部材供給や加工というプロセスが必ず存在しています。製造の現場にある各種インフラも大事な要素です。試験サービスも大事な役割です。このプロセスの隅々にまで、薬機法における製造業としての登録を必要とはしませんが、品質確保の一端を担っているという意識は大変重要です。このことをよく表しているのが、品質マネジメントシステム省令QMSです。
 最近では、いわゆる医療用のソフトウェア(プログラム)についても、一定の範囲を医療機器として取り扱うことになりました。したがって、流通の手段に、ダウンロードが含まれるようになりました。設計に関するマネジメントも大変重要で、設計という製造業を必要とします。

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