GMPヒューマンエラー防止のための文書管理【第71回】

2023/10/06 品質システム

教育訓練について。

教育訓練

1.承認事項

GMP省令第3条の2承認事項の遵守
法第14条第1項に規定する医薬品または医薬部外品に係る製品の製造業者等は、当該製品を法第14条第1項若しくは同条第15項(法第19条の2第5項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)または法第19条の2第1項の承認を受けた事項(以下「承認事項」という。)に従って製造しなければならない。ただし、法第14条第15項の軽微な変更を行う場合においては、同条第16項(法第19条の2第5項において準用する場合を含む。)の規定による届出が行われるまでの間は、この限りでない。

 改正GMP省令に基づき、承認事項を遵守しなければならなくなった。今までのGMP省令に承認事項の遵守が規定されてなく、製造業者が承認事項に反する製造管理や品質管理を行ったとしても、GMP違反とはならなかった。GQPとして、製造販売業者が監査や取決めで、製造業者において、承認事項を守っているかをチェックすることを求めた。GMP省令の改正により、承認事項に反する管理をしていた時、製造販売業者としての違反行為として処分されるとともに、製造業として、GMP省令違反となり、処分されることとなる。今までは製造販売業者と製造業者が製造の委受託を行っているとき、承認事項について、承認書の写しを開示せず、その情報を製造業者に知らせないことが多かった。製造業者として、承認事項を十分に承知せず、その管理方法に問題が生じる等、管理方法を変更し、運用しながら、製造販売業者に連絡しないことも起こった。製造販売業者と製造業者の連絡、連携を適切に行う必要がある。
 医薬品の製造販売承認申請や変更届出は製造販売業者が行わなければならない。そのために、製造販売業者は、GQPとして、承認事項のとおり製造しているか製造業者を監査しなければならない。製造方法や試験検査だけでなく、医薬品の表示や添付資料など、承認事項の成分、分量や効能効果、有効期間など、誤りがないか確認しなければならない。製造所の担当者は、その業務により、承認事項を理解し運用することになる。製造資材を変更する場合もGMPの変更管理を行うだけでなく、承認事項に変更手続きが必要か製造販売業者と連絡をし、承認事項の変更届出が必要か、バリデーションの検証など連携をしなければならない。原料や資材の変更においても、承認事項に関する点がないかを確認することが必要である。規格の変更は承認事項に影響するため、検証しなければならない。試験検査方法も、承認事項に影響するか確認が必要である。

<1医薬品の製造販売承認書>

 製図販売業者として、承認事項に変更がないか、GQP管理の運用をしなければならない。承認事項として、GMP管理が十分行える体制を構築する必要がある。承認事項を遵守する根拠を理解し、逸脱や変更管理において、承認事項に影響しないかの確認をしなければならない。そのために、現場の作業者も承認事項を理解していなければならない。

 

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執筆者について

中川原 愼也

経歴

GMPコンサルタント
1984年神奈川県庁に入庁。1997年国立公衆衛生院(現在の国立保健医療科学院の前身)でGMP研修を受講後、薬務課及び小田原保健所等で医薬品等の製造販売業、製造業の許認可、審査、指導を主にGMP・GQPリーダー査察官として16年にわたり活躍。その間、MRA(日・欧州共同体相互承認協定)締結の際のEU調査、2005年製造販売承認制度の施行に携わり、PIC/S加盟にあたり、厚生労働省の委員等委嘱を受け、次の活動に参加した。
 ・平成20、21年度 GMP/QMS調査・監視指導整合性検討会委員
 ・平成21、22年度 厚生労働科学研究~GMP査察手法の国際整合性確保に関する研究
2012年に神奈川県庁を退職後、医薬品原薬輸入商社、製薬企業、コンサルティング企業で品質保証やGxPコンサルタント業務に携わる。2025年6月よりGMPコンサルタントとして独立、現在に至る。

※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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