知的財産の基本から知財ミックスまで【第16回】

 

意匠の登録要件について3

 こんにちは、弁理士法人ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士の鈴木徳子です。今回は、意匠の登録要件の一つである、最先の出願であること(先願主義)について説明したいと思います。

先願主義
 意匠法第9条には、同一又は類似の意匠について異なった日に二以上の出願があったときは、最先の出願人にのみ意匠登録が認められる旨が規定されています。

 このように、出願日を基準として最先の出願人のみに先願の地位を与え権利を付与する制度を先願主義といいますが、これは、意匠のみならず、特許や商標にも共通して採用されている制度です。

 意匠については、同一又は類似の意匠同士で先願主義が適用されますが、先に出願された意匠出願であっても、その出願が「放棄され、取り下げられ、若しくは却下されたとき、意匠登録出願について拒絶をすべき査定又は審決が確定したとき」は、先願の地位を失います。

 意匠法では、出願中の内容が公開されることはありません。公開されるのは、原則設定登録された意匠のみです。
 したがって、皆さんが、J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)で、競合他社がどのような意匠を所有しているのかチェックしたいと思って検索したとしても、既に登録された意匠だけが表示され、出願中の意匠は出てきません。
 この点、特許や商標とは異なります。特許や商標では、J-PlatPatで検索をすれば、現在出願中の案件であっても、審査の過程で出された拒絶理由通知の内容等もチェックできますが、意匠では、出願中の案件の審査経緯はチェックできません。

 上記のとおり、意匠は出願中の内容が公開されませんので、出願前の先行調査をしても、他社が調査時点で似通った意匠を出願しているのかどうかまでは分からないということになります。

 

 

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