医薬品工場に求められているHSE要件と事例【第66回】
国際化に対応する医薬品会社に必要なHSEとは?
「日本製薬企業に求められる委受託工場における世界のTopレベル企業のSupplier Audit対応策」
1.製薬企業のあるべき姿
サプライチェーンの信頼性確保が必要な時代にSupplier managementをBCM構築に従い、Global Standardに持ち込み、国際的Audit(監査)の対応を社内に取込み教育することは大変重要です。そのレベル次第で会社の発展に大きく寄与することになります。あるべき姿は工場長がスタンダードを熟知し、その社内AuditでHSEマネジャーと共にAudit対応をManage出来ることが重要です。そこで、Auditに充実した対応を行い、その結果、各種のFindings(指摘事項)を受けてAuditが終了し、優先度の高いFindingsからリスク低減対策を行う。その後マネジメントシステムを回し、会社事業所としてFinding対策を繰り返し進めることができれば、会社の発展に寄与できる事業所といえると考えます。Auditを用いて、事業所の改善・改革を行い、よりレベルの高いHSE管理が出来ている事業所は、国際的な社会的信頼度を高めることが出来る事業所といえると考えます。従業員や関係者の健康と安全を守り、地球環境の保全を維持できる企業として付加価値の高い財産となるのではないでしょうか。では、ここから詳細にAuditをご紹介してゆきたいと思います。
<Auditの進め方>
- Opening(Audit開始Meeting):関係者全員出席し、Auditor Leaderから目的や趣旨、実施方法など説明
- Site Tour:対象施設を見て、AuditorはFindingsの可能性のあるObservation(気になるところ)を瞬時に見つけて写真やメモに残す・・・プロのAuditorでないとできない感性が必要
- Interview:対象者対象施設の責任者に面談し、更に詳細にFindingsになるような気になるところを洗い出す。・・・表面的に出来ている項目や国内法に適合しているだけではStandardに適合とは言えない項目を洗い出す
- Finding ReportについてSite Headや関係者と共有Meeting
- Closing Meeting:関係者全員にFinding内容の報告と対策実施期限とReportの依頼
<Findingの内容>一般的な事例
- Good practices:事業所活動内容が優れている項目の報告をFindingとは別に報告
- Priority Finding:最も重要な指摘事項で最優先対策項目(9か月以内に対策要)
- Major Finding;重要な指摘事項(15か月以内に対策要)
- Minor Finding:指摘事項
- Optimizations:アドバイス程度の指摘事項
<Auditの目的>
Auditの目的はいろいろありますが、社内AuditではGlobal Standardの取り込みが事業所内にどの程度浸透しているかを評価し、そのギャップをFindingsとしてSite Head(工場長)に報告し、工場長がこれを認識することで、優先度の高いリスクからリスク低減対策を実施し、事業所のHSEレベルの向上を図るための手助けをするものです。一方、委受託会社のAuditは委受託会社の評価を行うことで契約可能なレベルのHSE運用が出来ている会社か否かを評価し、契約に値する会社を選定する手助けをします。従って、委受託契約に関わる生産ラインや設備と運用についてのみAuditされる事になります。内容はAuditor会社のHSE Requirement、Standardが実施出来ているかを問うものです。賃貸ビルのAuditでは、契約予定のビルがHSE Standardに適合するビルか否かを評価して、賃貸契約の援助をします。重大なAuditとしては、委受託会社統合などで他社を買収する際にDue DiligenceのためのAuditを行い、他社の資産にHSE的に環境影響などの不利益な要素が無いか否かを評価して報告することで、会社統合が失敗しないように付加価値などの評価を調査して報告します。委受託関係Auditの特殊な例では、火災保険会社がその保険対象の、特に設備についてAuditを行い、火災のリスクが大きくならないよう必要な対策を施すよう、客先にFindingsで要求します。
<Auditの種類とAuditor>
上述のように、Auditの目的次第でAuditの内容種類が以下のように異なります。社内HSE Audit、委受託会社Audit、賃貸契約Audit、会社統合Auditなど様々です。これらのAuditにより、これを実施するAuditorも異なります。プロのAuditorが第三者機関や監査専門企業から選ばれて、Auditの仕事をすることが一般的です。製薬会社のHSE部門の社員の経験と知識レベルでは、国際AuditのAuditorは出来ません。火災保険会社のAuditは、火災保険会社のプロのAuditorが行います。環境汚染、土壌汚染対策などのAuditは、環境監査専門会社がその道の専門家をAuditorとして派遣し、その後の浄化作業(所謂、Phase2)までをサポートします。
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