PIC/S GMPガイドラインAnnex 11の改訂版ドラフト内容の注目点【第1回】

ECとPIC/Sが改訂版ドラフトを2025年7月7日付で公開
当GMP Platformにて速報されているように(https://www.gmp-platform.com/article_detail.html?id=32322)、EC(European Commission:欧州委員会)のDirectorate-General for Health and Food Safety(保健・食品安全総局)とPIC/S(Pharmaceutical Inspection Convention and Pharmaceutical Inspection Co-operation Scheme:医薬品査察協定及び医薬品査察協同スキーム)は、EudraLex – Volume 4 – Good Manufacturing Practice (GMP) guidelines(ユードラレックス第4巻GMPガイドライン)のChapter 4 – Documentation(第4章 文書化:以下、「Chapter 4」と記す。)とAnnex 11 – Computerised Systems(アネックス11 - コンピュータ化システム:以下、「Annex 11」と記す。)のRevised(改定)されたDraft Guidelinesおよび新たに制定されるAnnex 22 – Artificial Intelligence(アネックス22 - コンピュータ化システム:以下、「Annex 22」と記す。)のDraft Guidelinesを2025年7月7日付でそれぞれのウェブページ、

で公開した。
Annex 11については当GMP Platformにて既報のように(https://www.gmp-platform.com/article_detail.html?id=16976)、2022年11月16日付でその改定に係るConcept Paper(概念説明書)
https://www.ema.europa.eu/en/documents/regulatory-procedural-guideline/concept-paper-revision-annex-11-guidelines-good-manufacturing-practice-medicinal-products-computerised-systems_en.pdf
が公開され、2023年1月16日までのpublic consultationが即日開始されて、いくつかの団体からのコメントが提出されていた。このConcept Paperは、コンサルテーションのためのドラフトの公開予定を2024年12月としていたが、本年6月を過ぎても発表がなく、いつになったら公開されるのだろうと関係者の間で話題になっていたところであった。
今回は、ドラフトの公開とともに、Stakeholders’ Consultation(利害関係者との相談)による意見募集の告知が前述のECのウェブページでなされており、その期限は2025年10月7日である。

Annex 11はどう変わろうとしているか
筆者は、公開されたChapter 4とAnnex 11の対訳を従来のそれらと対比する形で早々に作成した。対訳のMS-WordファイルはこのGMP Platformのウェブページ上のリンク  からダウンロード可能であり、ご興味のある方はそれを参照しながらこの記事をお読みいただきたい。その資料を作成する中で筆者がまず感じたのは「何か、作成上の視点が変わったのではないか」ということであった。従来の『査察官目線』から、今回はコンピュータ化システムを運用管理する『製薬企業の管理担当者目線』になったような気がしたのである。これを筆者の知り合いのイギリス人コンサルタントとイラン人のスイス系グローバル製薬企業社員は「従来のガイドラインは、規制要件として『何が達成されているべきか(What)』を示したものであったが、今回は『どのように管理すべきか(How)』を詳細に記載し過ぎている」と辛口に批評しており、筆者はなるほどと納得した次第である。

 

 

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