医薬品の技術移転のポイント【第26回】

  • 設備のポイントを理解する
     設備を知らないと品質保証はできません。その設備の特徴や、製剤が残る死角有無など知っておく必要があります。
  • 分析技術&データの取扱いを知る(QCのデータを絶対視しない)
     分析技術を知らないとQCの結果を正しいと鵜呑みにします。欧米のOOSガイダンスを知らないと試験結果に問題がある場合のOOS/OOT対応が適切かどうかを判断できません。試験結果だけを見るのではなく、その試験結果のメタデータも含めて判断する力を持つことは品質保証において必須の能力になります。福井県の健康被害が起きた事例は、まさにQCとQAの「分析技術&データの取扱い」不十分でした。知識があれば容易に問題を発見し防ぐことができました。
  • 標準品管理を把握する
     分離分析など、標準品が重要になってきます。標準品に関する知識を持つことも重要です。日本薬局方にも標準品があります。補正係数や有効期限(速やかに使う)についても把握しておく必要があります。また、コスト削減の視点で二次標準品の運用も必要です。QCとQAは品質だけでなく、供給・効率・コストの視点を忘れないことです。多くの製造所を見てきましたが、価値の低いことにエネルギーを費やし、やるべきことを先送りにしているところが多いです。
  • サンプリングを把握する
     データはサンプリングがベースになります。ロット内のバラツキを把握し、どこから、何か所から、いくら、どのようなサンプリング方法とサンプリング道具で行うかもとても重要になります。評価はサンプリングがスタートだと認識することです。GMPは製造と評価を分けています。コスト優先でサンプリングを製造現場に任せている製造所のQAはGMPがわかっていないと言っても過言ではないです。他にいくらでも削減できるところがあります。
  • 3ゲン(現場、現物、現実)、5ゲン(原理、原則追加)
     品質保証で一番大切な考えです。そのためにはできるだけ委託先を訪問して製造現場を見ることです。そして多くの質問をして委託先の人の知識レベルを知ることも大切です。手術はできれば、ドクターXかブラックジャックに執刀して欲しいです。医薬品の製造もよく知っている人に造ってもらい試験してもらうことです。最後は人が品質を創っています。
  • 知の4モード(野中郁次郎)
     製造所や本社QAは個人の体験値(暗黙知)に大きく依存しています。ところがその人が異動や退社でその人と一緒に暗黙知も消失します。人の暗黙知を形式知にして、それは組織知でもあり、それを行うことで知の創造を行うことが重要です。それを熱く語っておられるのが知の4モードを紹介された野中郁次郎先生です。
    https://coach.co.jp/interview/20200121.html
    知の4モード
     形式知;SOPなど文書になったもので共通なもの
     暗黙知;経験したことでその人だけが持っているもの
     

暗黙知を出来る限り形式知にしていく。そしてその形式知を学ぶことで自分の暗黙知としていく。これがSOPに叡智を込めSOPを理解し、SOPを正しく実践することです。

 

 

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