ベトナム医薬品・医療機器分野への進出に関する法規制【第3回】

1 医薬品の輸出販売に関する法規制
 医薬品分野でのベトナムへの進出形態について、前回の連載では、
 1)ベトナム国内に製造拠点を設け、そこで製造した製品を現地販売店を通じて販売する
 2)現地輸入代理店に対して製品を輸出し、現地販売店を通じて販売する
 3)医薬品の製造、輸入及び流通業をすでに行っている現地企業に対して資本参加する

との3つの進出の選択肢があることを確認した上で、上記1の進出方法に関連する法規制を検討しました。引き続き、上記2及び3の進出方法に関する法規制について検討します。
 
 ベトナム国内に法人を設立することなく国外で製造した製品をベトナムに輸出販売する場合(上記2の場合)は、現地子会社の設立に関するIRC(投資登録証明書)やERC(企業登録証明書)を取得する必要はありませんが、Circular 17/2001/TT-BYT1)(Circular 17)に基づき、外国会社としてのRegistration for Trading Medicines and Medical Materials(医薬品事業活動登録)を行う必要があります2)。
 医薬品事業活動登録においては、1)輸出国において適法に設立され、医薬品の製造販売を行う法人であること、2)ベトナムの医薬品事業者との間で輸出契約を締結していること、3)輸出国の製造所においてGMPに適合していること、4)輸出国において医薬品の製造販売につき3年以上の実績を有することが要件とされます(Circular 17第5条)。
 医薬品事業活動登録を完了することにより、外国会社は、現地輸入代理店を通じて、医薬品のベトナムへの輸出販売を行うことが可能となります(同第12条)。
 医薬品事業活動登録に加えて、ベトナム国内での医薬品販売を行う前に品目毎の医薬品登録を行う必要がある点は、製造業での進出の場合と同様です。医薬品事業登録を行っている外国会社は、その名義において医薬品登録の申請を行うことができます(同第12条)。医薬品登録に際しては、輸出国の製造所においてGMPに適合していること、輸出国におけるCertificate of Pharmaceutical Product(医薬品証明書)等の資料の提出が要求されます。
 
 以上がCircular 17に基づく規制内容ですが、Law 105/2016/QH13(新薬事法)第54条3項には、「ベトナム国内に駐在員事務所を有する外国会社は医薬品登録の申請者となることができる」との規定が存在します。当該規定内容をふまえると、新薬事法のもとでは医薬品事業活動登録を行う必要はなく、ベトナムに駐在員事務所を設立し、当該駐在員事務所が医薬品登録申請を行った上で現地輸入代理店を通じて輸出販売を行うという流れになるのではないかと推測されます。医薬品事業活動登録が新薬事法のもとで引き続き要求されるのか、新薬事法に基づく細則の制定が待たれます3)。

 

1) Circular 47/2011/TT-BYTにより一部改正
2) Circular 17は旧薬事法に基づく細則であり、新薬事法の制定にともなって効力を失っているはずですが、
  新薬事法に基づく細則が未だ制定されていない現時点においては、事実上Circular 17に基づく運用が
  行われているようです。

3) この点、新薬事法に基づくDecree 54/2017/ND-CP(新Decree)が2017年5月8日付けで制定され、
  同年7月1日より施行されます。新Decreeにおいて、医薬品の輸出販売に際して医薬品事業活動登録を
  要するとの規定は見当たらず、今後同登録は不要となることが予想されますが、新Decreeの内容に
  ついては、詳細を確認次第アップデートしたいと思います。

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