業界雑感 2017年5月

アステラス製薬の長期収載品16製品の売却先がLTLファーマに決まった。聞きなれないのもそのはず、投資ファンドのユニゾン・キャピタル傘下の持ち株会社「日本長期収載品機構」の子会社として昨年8月に設立され、今年3月に医薬品製造販売業の許可を取得したばかり、社名のLTLはLong Term Listingの頭文字で、その名の通り長期収載品に特化した製薬企業として、ビジネスを展開する予定という。

医薬品産業ビジョン2013の中で「勝ちパターンのビジネスモデル」を構築した「適者」だけが生き残れるとされてから3年が経過する中で、日本のメーカー各社もそれぞれの方向に向かい始めている。大手製薬メーカーは、バイオ・抗体医薬研究の成果がなかなか現れてこない中で、抗がん剤領域などに集中を高める一方で、長期収載品ビジネスに見切りをつけ、特許満了を迎える製品についてはオーソライズドジェネリック(AG)として、グループ内での活路を模索しはじめた。ジェネリック大手メーカーは、AGの登場で梯子を外された感があり、一時期の勢いは影を潜めたようにも思えるが、東南アジアのみならずアメリカへの販路拡大を模索するとともに、バイオシミラーの開発にも乗り出し、強気の戦略を継続している。これから各社がどんなビジネスモデルを確立していくのか、またその成否については数年後を見守っていくしかないだろう。

話を戻すが、今回アステラス製薬が承継を決めた16製品の中には、ガスター・ペルジピン(旧山之内製薬)セファメジンα・セフゾン(旧藤沢薬品)など、合併前の両社の看板であった製品も多く含まれている。新薬ビジネスに特化するとした同社が、合併12年にしてようやく前社のしがらみを切り捨て、本格的な新薬メーカーとしてのビジネスモデル構築に向け歩み始めた、と評価できるとともに、早期に「グローバル」の5文字を冠し、「グローバル新薬メーカー」として日本の製薬業界を引っ張っていってもらいたいと思う。 

一方で、今回売却される長期収載品のほとんどの製品のアウトソーシングを担当し、技術移転後もサプライチェーンとして関わってきた身としては、一抹の寂しさも感じている。これらの製品は本当に長い間日本の医療を支えてきた、と言ってもおかしくないし、今でも、これからも一定の役割を果たしていくことになる。承継によりその製品のすべての権利をLTLファーマが引き継ぐことになるのだが、同時に責任もついてくる。特に生産量が減少していく中での製品の品質やコストの維持、長期的な視点ではCMOに製造を任せている中での製造技術の維持管理、需要量が減少する中での原薬量や品質の確保など、ちょっと考えるだけでも課題山積なのである。今後も他社からの長期収載品の導入も視野に入れ、品目を拡大していくという。新しいビジネスモデルとして確立していくためにも、サプライチェーンマネジメントの重要性を肝に銘じて展開していってもらいたいと思っている。

※この記事は「村田兼一コンサルティング株式会社HP」の記事を転載したものです。

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