ゼロベースからの化粧品の品質管理【第26回】

化粧品GMP手順書の作り方 ⑭内部監査

 前回は、⑦品質管理試験室の中で気になっていた事項の「規格外(OOS)」についてお話しました。今回は、⑦から一気に飛んで⑭内部監査に関する事項を取り上げました。
 なぜ、一気に話題が飛んだかと言いますと、前回お話しましたが、ある化粧品会社を見せて頂いた際に、ISO22716の要求事項の記載項目だけに囚われており、品質リスクの視点が抜けているように感じたからです。
 ここの会社は、ISO22716の民間認証を取得されているすばらしい会社で、ISOの要求事項に対して漏れもなく、要求事項に対して体制は整っています。勿論、ISOの認証機関の審査員の先生からの内部監査に関する指摘は今まで受けていません。しかし、内部監査の本来の目的は、内部環境や外部環境の変化に対して既存のGMP体制を確認、適切に体制を適応させること、また、運用している既存の仕組みの中で品質問題が発生しているならば、従来の体制の仕組みの不備について体制の不備を指摘し、是正すること、PDCAサイクルが上手く回っていることを確認することが重要なミッションと考えています。そこで、内部監査の進め方について、今回は皆さんと確認したいと思います。

1.内部監査の視点で重要なこと

GMP体制を整えることは、『高い品質の商品を市場に継続的に届ける』ことです。
従って、
① 製造所においてそれぞれの作業が効果的に行われていること
・品質方針、品質目標に対して、維持、向上している状態になっているか?
② GMPで定めた仕組みが効果的に機能していること
・それぞれの仕組みが品質の安定、効率化に寄与しているか?
これらのことをチェックし、会社の業績に貢献していなければなりません。
品質トラブルが減れば、失敗コストが減ることで原価低減に繋がりますし、品質の向上は顧客満足の向上にも繋がり、売り上げにも長期的には寄与します。
 

2.内部監査でのチェックのポイント

①    パーフォーマンスが安定、向上しているか?
②    現場の作業や品質活動に役立っているか?
これらのチェックを主眼として行うことが重要です。

 しかしながら、定められた手順や標準書に基づいて行われていることのチェックを主眼にチェックを行うこと、特に、標準書と実作業との整合性、記録類の記載についてのチェックを行い、毎回、同じような指摘を行うことでは内部監査が機能しているとは言えません。監査に慣れた監査員は鼻が利きますので、見なくても指摘事項が分かってしまい同じような指摘を行います。例えば、組織や担当者が変更になった場合に文書の改訂が行われていない箇所がある等です。このような内部監査が行われていることを目にしますが、これでは、内部監査により品質が維持、向上する仕組みになっているとは言えません。
 

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