医薬品工場に求められているHSE要件と事例【第31回】

国際化に対応する医薬品会社に必要なHSEとは?
「企業のビジネス継続に必要な人的災害対応」

1、  製薬企業のあるべき姿

製薬企業の国際化多様化が進む中、国際社会はロシア・ウクライナ問題に疑問を投げかけながらも何も出来ずに眺めている現状であるといわざるを得ません。日本国内の企業に与える影響が明確には見えていないことが、国内企業の経営者に危機感を与えずに時間が過ぎてきていると筆者は考えています。国内の多くの企業はBCP(災害時のビジネス継続計画)を構築し文書化して災害対応を整えています。このBCPはほとんどの場合、有事の際に機能することが難しいと言われています。それはBCP作成上の陥りやすい問題点として、以下のような内容で多くの企業が作成されているBCPが使い物にならない要因です。

BCP作成の事例を参考にしてコピーさながら作成した分厚い文書は有事の際や訓練時にも有効利用出来ないような最悪の事例が多い事が問題になっています。

筆者のアドバイス
① 事業継続計画文書は文書化を目的とならないようBCPマニュアルなど作成時は詳細に作りこまないよう
  留意する。BCPはその完成後それに満足して、その後放置している事例が事業者の中にはあまりにも多い。
② 事業継続計画は緊急時に使用出来る簡潔な特にマニュアル、チェックリストの準備が必要。分厚いBCP・
  マニュアル類は使い物になりません。見直し改善を繰り返し行えるようできればA4一枚程度が良い。
③ 別の担当者でもメンテできるものに作りこむ。各担当者は事業の変化・組織変更・事業継続の変化により、
  すぐ古くなるので改訂を頻繁に繰り返すことになる。そこで、定期的(年一回は最低でも変更が有るたび)
  継続的改善変更が不可欠で後任の人が容易にメンテ出来ることが重要。
④ 第1版の作成時、費用と手間をかけて詳細に作りこむとその後のメンテが容易には出来なくなる。

上記および関連費用の会社負担や援助、合格者に祝い金や粗品の贈呈を行うなど各種スキルアップのための

このようなBCP運用の現状ではほとんどの企業でBCPを構築した想定災害は地震のみか洪水、津波を経験した地域によっては、複数のBCPと想定災害を特定しているようです。私たちが考えなければならないのはこのレベルではありません。前述しましたように国際社会はロシア・ウクライナ問題で人的災害まで想定して対応しなければ企業のビジネス継続は担保出来ない時代になってしまいました。企業は各種自然災害(地震、津波、洪水、台風、火災、噴火、爆発、感染症、落雷、停電、断水、その他)や人的災害(戦争、テロ、爆弾投下、飛行機墜落、サプライヤー倒産・被災、情報システム障害テロ、ストライキ、その他)に対しても災害発生時に備えて必要な対策対応を資本を投資して、あらゆるSOPを作成のうえ、訓練し、課題を明確にすることで改善を繰り返してビジネスの継続が可能な状況を作り上げます。これを災害発生前の平常時にそのBCMマネジメントシステムを回しておかねばなりません。ロシア・ウクライナ問題の直接の影響は資源の供給が滞る事が最初ですね。さてその先はロシア・中国・北朝鮮などから進軍やアメリカ軍の駐留している国として軍の施設のみならず攻撃や場合によっては、原子爆弾などの軍の施設への投下で日本国内の各民間施設にも及ぶ可能性はゼロではありません。このような場合は経営者としてビジネスが継続出来なくなって倒産しても仕方が無いで済ませる事が出来るのでしょうか。国や行政は被害を受けた企業を助けてくれません。筆者は、このような時でも企業は独自のBCMで自然災害はもちろんのこと、リスクアセスメントを実施の上、人的災害にも対応できる強靱なBCMの構築と必要な投資を行いあらゆる災害に想定内で設定する事により、その内容を具体化して平常時のBCM運用を図らねばなりません。今や現実の国際社会でビジネスを継続することを深刻に考えて実行せねばなりません。
国際化多様化に対応する企業ごとの関連グローバルスタンダードを構築し、外国人も日本人もサプライチェーン各社に至る行き届いた規定や制度作りがこれからの企業に必要な改革となるのではと筆者は考えています。

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