薬づくりの実務担当者として実践したいこと【第1回】

1.はじめに
 医薬品の工場新設や新規ラインの立ち上げに際してはプロジェクトメンバーを中心として設計、据え付け、条件設定、一連のバリデーションなどが行われ、その後の商業生産開始以降は、通常、製造部門の生産実務メンバーに引き継がれる。工場として品質システムが築き上げられていても、本格的な日々の生産では「安定した品質の製造」が現場における製造担当者の力量に影響される場合があるのも事実であり、僅かな不注意や日常管理の弱さが、人為的な誤りや製品の汚染を引き起こし、GMP三原則を揺るがしかねない事となる。
 
 各ガイドラインに関する内容については、必要に応じて職員教育を通じて実施されていると思われるため、ここでは直接生産業務に携わっている実務担当者が日頃から実践しておきたい身近ないくつかの例を、設備機器、作業方法、原材料の観点から思いつくままに述べたい。
 
 記載した内容は多くの人が認識している当たり前のものであるが、それゆえに軽視したり、先送りして品質トラブルに繋がる可能性もある。あらゆる現場担当者が問題意識を持ち、きめ細かく実行する習慣をつけていく事で製造現場のレベルアップが図られるものと考える。


 2.設備機器について
 エンジニアリング部門を中心に設備保全システムが構築されていると思うが、設備トラブルの撲滅は難しい。現場担当者の研ぎ澄まされた注意力も、設備トラブルや品質トラブルの未然防止に大きく寄与する。常にエンジニアリング部門と密接にコミュニケーションをとり、担当する設備に対しては「my machine」の意識を持って、より良い状態で維持して行きたい。

  ①設備機器の日常点検
・設備の音、振動、熱、臭い、汚れ、漏れ、腐食、損傷の有無などを確認すると共に、計器の指示値がいつもと違っていないか良く点検する。特に加熱や冷却が繰り返される設備に対しては締め付け部分の緩み、パッキンの劣化等に注意を払う。また、濡れていないはずの床などが濡れていたら、何らかのトラブルの前兆かも知れない。
・温度、圧力等の指示計及びその点検記録書には上下限の管理幅を明示し、正常に運転されているか作業員が一目で確認できるようにしておきたい。
・何らかの処置を行った場合は必ず記録として残し、状況によっては逸脱や変更管理の手順に従って対応する事を忘れてはならない。
・設備の日常点検では温度、圧力、流量など多くの項目があると考える。数値で読み取れる計器について、管理幅内にある確認結果として「適」、「レ点チェック」のみ記録されている場合があれば、是非「数値」を残すように改善しておきたい。数値を残す事によって設備の劣化傾向や変化した時点が把握でき、何らかの逸脱が発生した際の原因調査において貴重な情報となる場合もある。
・蒸気滅菌機、凍結乾燥機など真空工程、加熱工程などがある設備については、真空到達時間や加熱時間の変化、リークテスト結果の傾向に変化がないか注視する。

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